重要なトピックについてお話します。ファンダメンタル分析です。心配しないで。この戦略の仕組みや実際の利用方法を理解するのに経済学の学位は必要ありません。必要なのは特定の経済に影響を与える要因である「ファンダメンタル(基本)」を把握することだけです。
すべてのトレーダーがこのタイプの分析を使っているわけではないので、もしかするとあなたも使わないことを選択するかもしれません。でも、要点を把握しておく必要はあるでしょう。この分析は取引の世界で重要な役割を果たし、たくさんの取引戦略に組み込まれているからです。ファンダメンタル分析とは何か、見てみる準備はできましたか?では基本からはじめましょう。
ファンダメンタル分析はちょっとした研究と似ています。ここには経済、政治、社会などに関するさまざまなデータの評価が含まれます。もちろんデータなら何もかもというわけではなく、特定の銘柄の需要と供給に影響を与え得る種類のデータに限ります。経済指標において需要と供給がどのように働くのかを理解するのは簡単です。どんな要因が需要と供給に影響を与えるのかを把握することの方がつまづきやすいですが、少し練習すればそれほど複雑でないことがわかるでしょう。
あなたが把握すべき要因は通常「ファンダメンタルズ」と呼ばれます。理論的には、これらの要因を分析することで、経済や企業の状態に関する結論を導くことができ、情報に基づく取引にこれを利用することができます。
たとえば、雇用水準は国家の経済状況に関する情報であり、特定の条件下では、その国の通貨の需要に影響を及ぼす可能性があります。
例を見てみましょう。
FX取引にあたって、ファンダメンタルトレーダーは、ある通貨が強くなるか弱くなるか予測するために、経済状況を評価しようとします。このようなトレーダーは、ある国の経済が繁栄している場合、外国投資家や企業が投資を希望し、そのためには現地通貨が必要になると考えます。その結果、この理論によれば、現地通貨は値上がりします。
ファンダメンタル分析を使うトレーダーにとって最も重要なツールのひとつが経済カレンダーで、多くの市場での主要な経済イベント、発表、収益報告、スピーチなどを網羅しています。非常に単純に見えますが、経済カレンダーの真髄は、一箇所でたくさんの関連イベントを処理でき、これを使うとトレーダーは自分で面倒な研究をたどる必要がなくなるという点にあります。これは大幅な時間の節約です。iFOREXの経済カレンダーにはさらに、日付や地域で検索できるフィルターも備わっています。
標準的な経済カレンダーには多くのイベントが掲載されています。そのすべてについてここで言及することはできませんが、よく知られたもののいくつかについて、ここで見てみましょう。
非農業部門雇用者数(NFP)は、農業従事者を除く、米国における企業および政府機関への就業者数の概算です。実際の非農業部門雇用者数と雇用状況に関する追加情報が米労働省により、毎月第一金曜日、EST 8:30ちょうどに公表されます。公表されるのは常に前月のデータです。
多くの投資家が毎月このレポートを待ち受けています。その理由は、現在および将来の国家の経済成長ペースに関しての、優れた情報源だからです。平均時給の変化は米国の労働市場における需要と供給に関してのヒントとなるでしょう。このことで、NFPは非常に影響力の高い経済指標となっています。
Fedが金利を据え置くと決定した場合でも、市場は反応する可能性があります。特に多くの投資家が変更を予測していた場合は、その可能性が高くなります。
公開企業は業績を示すために、四半期ごとの収益報告を発表します。これには、1株当たり利益、純利益、純売上高および継続事業からの収益を含む多くの数字と事実が含まれています。ファンダメンタルアナリストは収益報告を、企業の財務力を評価するために使います。たとえば、一株あたりの利益を見て、投資家は、時価総額と利益を比較することができます。
これらの報告は四半期ごとにリリースされ、前四半期について言及します。結果はこの主の報告において、最重要事項ではありません。最も重要なのは、市場の期待に対して企業の状態はどうなのか、ということです。
混乱してきましたか?実はこれは非常に単純です。もし企業がアナリストの予測よりもうまくいっていることを示す報告を発表した場合、市場はよい意味で驚かされます。これは明らかですよね?では、もし企業がうまくいっていないことを示すデータを発表し、でもそれはアナリストが予測したほどは悪くなかった場合は?これも市場によい意味でのサプライズとなるでしょう。
企業が大きな利益を報告すれば株価は上昇するのだから、収益報告は簡単だとお考えかもしれません。しかし実際は、物事はもう少しだけ複雑です。
例として、フェイスブックを見てみましょう。2016年11月、第3四半期の売上高は予想を大きく上回り、56%の成長を記録したと発表されました。投資家は大喜びしたと思うでしょう? よく考えてみましょう。
株価は暴落しました。なぜかを知るには、目を細くして細かく印刷された答えを探さなければいけません。この場合、問題は非常に良好だった企業利益ではありませんでした。それは同社の見通しでした。データ公開時、フェイスブックの最高財務責任者は、2017年に収益成長率が大幅に低下する可能性があると述べました。その後何が起きたでしょう?下のチャートを見てください。
ほとんどの経済イベントは経済カレンダーに掲載され、投資家は前もって備えることができますが、まったく予測されない、想像できないような経済イベントもあるということに留意することは重要です。
極端な例を見てみましょう。2015年1月15日、通常は信頼性が高く予測可能な中央銀行であるスイス国立銀行が、スイスフランのユーロに対する上限を撤廃すると発表しました。結果は瞬時でした。フランは、ほとんどの相手に対して、急騰しました。下のユーロ対フランのチャートを見てください。どれだけ劇的な1日となったかを理解するために、FX取引の経験はほとんど必要ないでしょう。
これは経済カレンダーの限界を示しています。特定の政策立案者の発言予定は前もって知ることができますが、何が発表されるのかを事前に完全に把握することは不可能ですし、時として、どんなカレンダーも準備できないようなサプライズも発生します。このような場合、トレーダーのできる唯一の対策は、迅速に対応し、市場を先取りすることです。
もしこれまでの説明で、あなたがファンダメンタル分析はカレンダーデータがすべてだと思ってしまったとすれば、謝ります。利用する分析の種類や取引戦略に関係なく、人々の感情や認識が経済報告に対する反応を形成するということを、覚えておきましょう。感情は主観的なものなので、市場がどのように行動するかを確実に把握することは非常に困難であることは、お分かりいただけると思います。
ファンダメンタルアナリストは世界のすべての情報を収集することができますが、それだけでなく、集めた情報を理解し取引時の意思決定においてそれを正しく使用することも求められます。彼らは常に成功しているのでしょうか?もちろんそうではありません。前に言ったように、データは正確かもしれませんが、結論は主観的なもので、それは個人個人で異なります。
ここまで見てきたように、オンライン上では、利用可能な多くのファンダメンタルデータがあります。あなたが直面する最大の課題の1つは、すべてを集めて検討しなければならないことです。単一のレポートは読みやすく把握しやすいですが、それを経済概要と関連付ける方法を理解する必要があります。分析するレポートが50件ある場合はどうなるでしょう?時間を節約したいなら、当社の毎日の市場分析で、いくつかの主要銘柄についての洞察をチェックしましょう。