7月下旬から開催の東京五輪まであと3ヶ月半と迫った。JOCなど日本の関係者はこのまま開催するつもりで、3月下旬から聖火リレーも行われている。しかし五輪への最終予選も兼ねた国際水泳大会が中止になりそうでもあり、現実的には開催は厳しい。そして開催するか否かの決断の時期も迫っている。
東京五輪の開催は2013年に決定し、2020年7月からの開催を目指して7年間準備が行われてきた。しかし2020年になってパンデミックとなり開催がどう見ても不可能だったので、1年延期されて2021年7月からの開催となった。
延期が決定してから1年が経ちすでに2021年4月だが、パンデミックは全く終息していない。延期が決定された2020年3月時点と状況はほぼ変わらないかむしろ悪化しているにも関わらず、五輪の中止や再延期は発表されていない。
ひとまず海外からの観客受け入れだけは断念が発表された。しかしそれ以外はほぼ予定通り開催される前提で、聖火リレーも開始された。海外からの観客がこなければ全体の観客数は当初の予定よりかなり少なくなるだろう。それでも「やらないよりはマシ」とばかりに、JOCなど日本国内の関係者は開催に向けて作業を進めている。
ところが4月に入り、五輪開催に大きなマイナスとなる出来事があった。4月から5月にかけて日本で開催され、かつ五輪の最終予選を兼ねている3つの水泳大会について、国際水泳連盟が中止にしたいとの意向を伝えてきたのだ。
これら3つの大会は、4月18~23日まで東京で開催される飛び込みのワールドカップ、5月1~4日まで東京で開催されるアーティスティックスイミングの最終予選、5月末に福岡で開催されるオープンウォーターの最終予選。
中止を求める理由は、日本政府の感染防止対策が不十分なこと、感染防止のための費用負担を求められること、選手以外は入国後3日間の隔離を要求されることなどを挙げている。
このまま水泳3大会が中止になったら、東京五輪にとっては大きな打撃になる。まず水泳の最終予選ができないので、五輪中の水泳を開催できずに水泳を除外しなくてはいけなくなる。
そしてこの一件で「やはり今の状況で日本に選手を送るのは危ないのではないか」という認識が世界に拡がる。それによって他に日本で行われる予定の予選が中止になることも考えられる。
さらに4月4 日になって日本水泳連盟が、3月後半に行われた水球男子の日本代表候補の合宿でクラスターが発生したと発表した。上の件と同じく水泳に関連しているのは単なる偶然だろうが、合宿におけるクラスター発生も東京五輪にとってはかなりダメージになる。
東京五輪が中止となれば莫大な損失や違約金などが発生するので、誰もが最初に「中止にしよう」と言い出せないのが現状だ。だが残り3ヶ月半と迫っている今、いつかは決断しなくてはならない。
また中止をせずに開催したとしても、中止になる競技や参加を見合わせる国が相次ぎかなり盛り上がらない五輪になるだろう。東京五輪は開催でも中止でもかなり厳しい結果になることは間違いない。
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