野村證券が一部銘柄のネット注文受付を停止

楽天証券をはじめとした日本の証券会社にフィッシング詐欺の被害が広がる中、8日になって店頭証券大手の野村證券が一部の銘柄についてネットでの注文受付を停止すると発表した。

広がり続ける被害

　3月頃から日本の証券会社の口座保有者間に、フィッシング詐欺の被害が広がっている。そのためフィッシング詐欺防止を目的として、今週8日に店頭証券最大手の野村證券が、一部の銘柄についてネットでの注文受付を停止すると発表した。なおどの銘柄が受付停止にされたのか、および停止される期間などは公表されていない。

　このような措置を取ったのは、フィッシング詐欺の被害が深刻化しているためだ。フィッシングとは、個人の証券口座番号、ID、パスワード、クレジットカード番号、カードの暗証番号やセキュリティコードなど、重要な情報を不正に入手する手口のこと。

　その手口はメールやSMSなどに、自分の口座番号、パスワード、またはクレジットカード番号などの入力を促す画面に誘導するメッセージがくる。そして記載されているURLをクリックし、メッセージ通りに操作をしてしまうと、相手に自分の個人情報がわたってしまう。

　詐欺師が個人情報を入手すると、それを使って被害者の証券口座にアクセスできる。この手口を使って個人の口座で株式などが不正に売買されるケースが、3月以降相次いだ。最初は楽天証券で被害が報告されたが、その後はSBI証券や、店頭証券の野村證券やSMBC日興証券などにも広がった。

　具体的な不正行動としては、口座に入金されている資金を使って勝手に証券を購入したり、あるいはすでに保有していた証券を売却する。そして売却した資金を本人のものではない別口座に出金してしまったケースもあるという。

　このような詐欺は被害があっても必ずしも証券会社の過失とは言い切れなかったり、あるいは本人が行った取引か詐欺師が行ったのか区別をつけるのが難しいため、被害があっても証券会社が補償してくれるとは限らない。

　先月以降各証券会社はメールやログイン後の画面などで「フィッシングにご注意下さい」など注意喚起をしてきたのだが、まだフィッシングの被害は発生し続けている。今回の野村證券のネットからの注文受付停止措置は、そのような状況を判断してのことだろう。

　今回は注文受付停止にした銘柄や、停止期間といった詳細は発表されていない。それは発表してしまえば、フィッシング詐欺師はそれらを意図的に避けて注文するからであろう。また停止にしたのは詐欺師に狙われやすい銘柄と思われる。

　そしてネットで注文しようとしてできなかった場合、電話や店頭での注文を勧められるとのことだ。これでフィッシングの被害が全て防げるわけではないと思われるが、少しでも抑止力になってくれると祈りたい。