暴落以来回復が見られないFacebook株

最近まで順調に上昇を続けてきたFacebookの株が、7月26日に20％近くも暴落した件は多くの投資家の記憶に新しい。それから2ヶ月近くが経ったが、Facebook株は回復する様子が全くない。やはり一度暴落した株はそう簡単には立ち直れないものなのか。

業績見通し悪化から暴落

Facebook株 [i] はつい最近まで非常に好調だった。アメリカではここ数年株式市場の上昇をけん引してきた銘柄をまとめてFAANGなどと呼んでいた。これは好調な株の頭文字を取ってつなげた言葉で、その中の「F」とはFacebookを意味する。つまりFacebookは、アメリカの株式市場の中でも最も好調な銘柄の1つとして認識されていた。

実際Facebookは7月には210ドルを超える上場以来の最高水準にあった。この裏付けとなっていたのは業績で、Facebookは四半期決算発表の度に2桁の増収増益という素晴らしい内容を発表していた。

それが7月25日のNY株式市場後に発表された第2四半期（4～6月期）の決算発表で崩れる。この時発表された第2四半期の決算は、売上高が前年同期比42％増、純利益は同31％増とこれまで通り好調な数字だった。ところが問題は第3四半期以降の見通しで、ユーザー数は伸び悩み、そして個人情報保護のための投資を増額するために、収益が圧迫されるだろうという予想が出た。この投資は最近起こったFacebookからの個人情報大量流出事件を受けたもので、この事件がFacebookの将来に暗雲をもたらしたのは間違いない。

この発表内容を受け、翌26日にはFacebookは上場以来最大の暴落を見せる。25日は217.50ドルで終えた同社の株は、26日に19％も暴落し176.26ドルで終了した。

この時はFacebook株の暴落が大きく報じられたが、その後は目立った暴落がないためにFacebook株のことが金融関連記事に載ることもあまりなくなった。しかしその後2ヶ月近く経つが、どうなったのだろうか？

7月26日の暴落の後、1～2週間は緩やかなリバウンドが続き、8月8日には186ドルまで値を回復した。この間にはFacebook株がまた上昇基調に乗ってくれることを期待していた投資家も多かったと思うが、実際はそう甘くなかった。

8月8日をピークとして以降はまた下がり続け、9月18日には160ドルと暴落時よりもさらに下がってしまった。7月26日から現在までの間、アメリカの株式市場全体は順調に上昇してきた。FAANGの別銘柄であるAppleは8月上旬に、Amazonは9月上旬に世界で初と2番目となる時価総額1兆ドルを突破した。

それに対してFacebookは暴落以来さえない動きが続いている。やはり今後の業績見通しが悪化していたのが株価の頭を抑えており、そう簡単には以前のような上昇基調には乗れそうにない。特に業績見通しという裏付けがあった場合顕著だが、一度暴落があった株はそう簡単には元のようには上がれないということだ。

そしてFacebookの場合、暴落直前の7月25日は今年の最高値であり、同時に上場以来の最高値でもあった。つまりどれだけ高騰し最高値を更新している株であっても、何か悪い材料が1つあれば暴落してしまう現実がある。