日銀が利上げ発表も円安は止まらず

24日の正午過ぎに日銀が政策金利を発表し、大方の予想通り0.25％の利上げが発表されて政策金利は0.5％とされた。この発表は予想通りのため発表後の為替市場は1円ほど円高に動いたのみで、夕方以降には逆に円安に動き夜には日銀発表前の水準を超えた。

メガバンクは預金金利を引き上げ

　2日間の金融政策決定会合を終え、日銀が24日の正午過ぎに政策金利を発表。今回は前週16日頃から何度も「日銀は24日に利上げを発表する公算大」と報じられていたが、それらの報道通り0.25％の利上げが発表され政策金利は0.5％とされた。

　また今回は3ヶ月に1回の「経済・物価情勢の展望（展望レポート）」の公表があった。その内容によると、インフレ率見通しは2024年度が2.7％（昨年10月時点では2.5％、以下同）、2025年度が2.4％（1.9％）、そして2026年度が2.0％（1.9％）で、3つの年度全てが10月時点の予想より引き上げられていた。

　一方成長率の見通しは2024年度が0.5％（0.6％）、2025年度が1.1％（1.1％）、そして2026年度が1.0％（1.0％）と10月時点の見通しとほぼ同じだった。

　そして午後3時半からは植田総裁の会見が行われた。多くの市場関係者が気になっているであろう今後の追加利上げについては、「基礎的な物価が26年度後半にかけてどうなるか見て判断」「経済・物価・金融情勢次第で予断は持っていない」「段階的に動いていくのが適切な対応」「0.5％の政策金利、中立金利の幅から距離がある」などと述べ、今後も追加利上げがあることを示唆した。

　しかし今回の利上げは先週時点から報道で示唆されており市場も織り込み済と見られ、株・為替市場の反応は比較的限定的だった。政策金利発表前は1ドル＝156円だった米ドル/円は、発表後1時間で1円ほど円高に動き155円に接近。さらに植田総裁の会見前後には一時的にだが155円を割った。

　東京株式市場は前場に上昇して日経225平均が40,200円を突破したものの、日銀の利上げ発表を受けて後場には高値から最大で400円以上下落。終値は26円安の39,931円と40,000円を維持できなかった。

　だが日銀の発表と植田総裁の会見が終わった後の夕方過ぎには米長期金利高などを受けて米ドルの買い戻しが多く入り、夜には一時156円50銭を超えて利上げ発表直前の水準より円安になった。

　さらに三菱UFJ、三井住友、そしてみずほの3大メガバンクは日銀利上げを受けてすぐに預金金利引き上げに動き。普通預金の金利をそれまでの0.1％前後から0.2％に引き上げると発表した。

　今回の利上げはすでに織り込まれていたこともあり、今後も含め昨年夏のような株式市場大暴落につながる可能性は低い。だがその反面、利上げの目的であった円安抑制の効果はかなり薄かったと言える。円安を止めるためには今後もまだまだ日銀の利上げが求められるであろう。