日本初のIEOは大成功か

著者鳥羽賢

2021年8月4日

日本で初めてのIEOとしてコインチェックを通して販売されたパレットトークンは、公募ではわずか6分で目標額の調達に成功。さらに上場後にも公募価格の10倍を遥かに超える値まで上昇しており、全体として見てもこのIEOは大成功だったと言える。

上場後も暴騰

　海外では広く行われているIEO（Initial Exchange Offering）が、日本でもついに行われた。IEOとは、企業が独自のトークンを発行して資金を調達するICO（Initial Coin Offering）をさらに進化させ、間に仮想通貨取引所が入って行うようにしたもの。

　ICOは何の審査もなく企業がトークンを発行するので、発行して投資家から資金を調達したらそのまま経営者が行方をくらますなど詐欺まがいの案件も多かった。そのためICOはすでに海外でもすたれており、現在では間に取引所が入り審査が行われるIEOの方が広く行われている。

　そして最近になって、日本初のIEOが仮想通貨取引所のコインチェックを通して行われた。今回トークンを発行する企業はHashpalette（ハッシュパレット）という企業で、NFTを利用したコンテンツ流通に特化したプラットフォーム「Palette（パレット）」を運営している。

　もともとICOは仮想通貨を使った株のIPO（新規株式公開）のようなものだったが、IEOで取引所が間に入ることでさらにIPOに近くなった。今回Hashpaletteが発行したトークンはパレットトークン（PLT）というもの。パレットトークンの公募価格は1枚あたり4.05円だった。

　7月1日から公募の受け付けを開始し、開始からわずか6分後には目標金額である約9億円が集まったという。IPOのブックビルディングに近いこの手続きは15日まで行われ、販売枚数以上の応募があったためにその後抽選で公募で買える投資家が選ばれた。

　そして7月29日にはついにコインチェックに上場したのだが、上場初値は約6円でこの時点で公募価格の1.5倍だった。しかしその価格では止まらず、初値がついた直後に46円まで暴騰し公募価格の10倍以上になった。

　翌30日は25～30円で推移していたが31日から8月1日にかけてまた大きく上昇し、1日には94円と公募価格の20倍以上の水準まで暴騰した。それから数日は高値更新がなく、8月4日夜現在では50円台に留まっている。

　しかし日本初となるこのIEOは大成功だったと言ってもいいのではないか。Hashpaletteにとっては目標額の9億円が調達できた。そしてパレットトークンは上場直後に大きく上昇した。今後下落して公募価格以下になる可能性もゼロではないが、ここまでを見る限りこのIEOは上手く行っている。こうなると第2弾、第3弾のIEOも近いうちに行われるのではないか。

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