日本の株式市場における値幅制限とストップ安

先週水曜に民事再生法の申請と、それを受けた3月1日の上場廃止が発表されたスカイマークエアライン株（9204）は、今日値幅制限が撤廃されて16円の安値をつけるところまで売られた。ここで改めて、値幅制限やストップ安について確認してみよう。

整理銘柄は下限が撤廃される

値幅制限やストップ高・安というものは、日本の株式市場独特の制度だ。もちろん他国にもあるが、世界最大の株式市場であるアメリカ・NY市場にはない。

改めて説明すると、値幅制限とは株価が急激に変動することを避けるために定められた、1日の変動の上下幅のことだ。この幅は毎日、前日の終値をもとにして決められ、株価はその幅を超えることはできない。そして値幅の上限をストップ高といい、下限をストップ安という。保有している株がストップ高になれば、誰でも嬉しい。

スカイマーク株の例でいうと、上場廃止が決まった1月28日の終値は317円だった。終値が317円の場合、制限値幅は上下80円ずつと決められている。つまり29日の上下幅は、237～397円だった。しかし上場廃止が決まったため29日は売りが殺到。その日は237円のストップ安に張り付いたまま、最後に比例配分されただけだった。

29日の終値は237円だったので、30日の値幅は同じく上下80円の幅、157～317円になった。そして前日と同じように、売りが殺到してストップ安157円に張り付いたまま取引を終了した。

現在のルールでは、上場廃止が決定して整理銘柄に指定されると、翌々営業日には下の値幅制限が撤廃される。だから週明け2日には下限が撤廃されて1円までいくらでも安い値段がつくようになり、前場に32円で寄り付いて後場には一時16円の安値をつけた。

今回のスカイマークの場合は整理銘柄になったため値幅制限が撤廃されたが、撤廃されない場合は何日もストップ安が続く場合がある。日本の株式市場で最も長い連続ストップ安記録は、光通信株（9435）が2000年3月31日～4月27日に記録した20日連続ストップ安だ。この時は連続ストップ安前は8万円台だった株価が、4月27日には1万円近くまで下がった。

この20日連続ストップ安記録は日本の株式市場で語り継がれており、今後は破られることはないかもしれない。というのも、2010年に値幅制限が全体的にこれまでより拡大され、1日に動く幅が大きくなったからだ。今光通信株で同じような下落が起こったとしても、20日ではなく15日で終わるかもしれない。

2000年はITバブル崩壊の年だった。この時の光通信株は、ストップ安こそ20日連続で終わったが、株価の下落はもっと長期間続いていた。この期間における光通信株のピークは2月の22万円付近であり、かつストップ安が終わってから5月には5,000円前後まで下落した。3ヶ月で株価が40分の1まで下落したのだ。ただこの時期のIT関連株には、他にも暴落した銘柄はいくつも存在していた。

値幅制限は1日で株価が大きく動き過ぎることを避けるために設定されているが、その反面光通信株のように長い間寄り付かないという問題も出てくる。何日も寄り付かないと、その間売りたくても売れないホルダーはかなり精神的に参ってしまう。その意味では、整理銘柄で値幅制限を撤廃するルールは適切と言えるだろう。