19日未明に米FOMCが利下げを発表したが、来年の予想利下げ回数が減少していたことでその後円安が進行。また同日正午には日銀が政策金利据え置きを発表したものの、その後植田総裁が当面利上げはないと示唆する発言をしたことで円安が1ドル=157円まで進行した。円安は止まる気配がなく、円安との戦いは来年まで続くことが確実になってきた。
19日午前4時にFOMCが米政策金利を発表。今回は大方の予想通り0.25%の利下げが発表されて、政策金利は4.25~4.5%とされた。これでFOMCの利下げは3会合連続となる。
今回は政策金利と同時に、参加者による今後3年間の年末時点と長期の金利予想を示す「ドットチャート」公表の回だった。そして2025年末時点の金利予想の中央値は3.875%、つまり3.75~3%となった。前回・9月時点では3.375%だったので、前回時点では2025年の利下げは「4回」と予想されていたが、今回はそれが「2回」に下方修正されたことになる。
その後のパウエル議長の会見では、「追加調整を検討するにあたり慎重な姿勢を強める可能性がある」「金利は中立水準にかなり近づいた」など、今後の追加利下げ減速を示唆する発言があった。
発表前は1ドル=153円台後半だった米ドル/円だが、来年の利下げ減速見通しを受けて発表後は1円ほど円安に動き154円台後半になった。
さらに同日正午頃には日銀が政策金利を発表し、一部で追加利上げ予想も出ていたものの金利据え置きだった。この発表で円が一段安となり155円を超えた。
そして午後3時半から行われた会見で植田総裁は据え置きの理由について「来年の春闘のモメンタムなど今後の賃金の動向について、もう少し情報が必要と考えている。現時点では情報が少ない」と発言。この発言が来年の春闘まで追加利上げを行わないものと受け止められ、会見後は円安が加速。会見から数時間後には7月以来となる157円をつけた。
来年はFRBが利下げを減速させ、日銀は利上げを急いでいない。となれば来年も円安が進行していく可能性は高い。現在の円安トレンドは2022年にアメリカのインフレが進行しハイペースで利上げを開始した頃に始まり、その後3年近く経った現在でもまだ終わりが見えない。
政府日銀は円安を止めるために2022年に3回、24年に4回と計7回介入を行ってきた。それでも円安トレンドは止まらず、今年7月にはついに利上げを行ったが直後に株式市場が大暴落した。そのため政府日銀は萎縮してしまい、追加利上げができなくなった。
しかしこのままでは来年も円安が続き、さらに物価高も続くことはほぼ確実だ。今週19日からはガソリン補助金の一部が廃止され、ガソリン価格は平均でリッター5円ほど上がると想定されている。また来月にはさらに廃止枠が広がり、再度リッター5円ほど上がると予想されている。
円安に加えて補助金廃止による燃料高、そして物流コストの増大は国内の物価上昇圧力になる。来年以降も政府日銀、そして国民の円安や物価高との戦いは続くだろう。しかし日銀は追加利上げができず、打つ手があまりないという厳しい状況にある。
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