仮想通貨市場が崩壊したら影響は甚大

11月の米大統領選以降仮想通貨市場の高騰が止まらず、今月には一時ビットコインは1,600万円を超え市場全体の時価総額は550兆円を超えた。これだけ膨らんだ仮想通貨市場だけに、今後崩壊するようなことがあれば甚大な影響が出る。

過去2回崩壊した歴史

　11月5日に米大統領選が行われ仮想通貨に好意的なトランプ氏が勝利して以降、仮想通貨市場の高騰が止まらない。ビットコインはそれまでの最高値を大きく更新して1,600万円台まで上昇し、仮想通貨市場全体の時価総額は550兆円を超えた。

　もはや仮想通貨の勢いはとどまることを知らず、今では誰もが「仮想通貨は今後も発展し市場は上昇が続く」と思っているだろう。今の状況ではそう考えるのが当然なのだが、しかし金融市場には常に崩壊の可能性がある。

　これまで仮想通貨市場が大きく上昇したことは4回あった。最初は2017年後半で、この時は2018年明けとともにバブルが崩壊するように仮想通貨市場は崩壊して価格が下落した。

　2回目は2021年で、この時は21年11月を天井にその後調整が続いていたが、翌22年5月のテラショック、11月のFTX破綻という仮想通貨市場の信頼を揺るがす2つの事件を経て市場が大幅安となり崩壊した。

　3回目は2023年末から24年前半にかけて、アメリカでビットコインETFの承認見通しが高まり、そして1月に承認されたことがきっかけだった。この時は24年前半に市場が上昇した後、夏から秋にかけてかなり下がったが崩壊というほどの下げは起こらなかった。

　そして4回目が今年の米大統領選後の上昇である。仮想通貨市場の時価総額はどんどん増えており、1回目の上昇のピークである2018年初頭で90兆円、2回目のピークである2021年11月で330兆円、3回目のピークである2024年3月で390兆円、そして4回目の現在は一時550兆円を超えた。

　過去3回の上昇のうち、少なくとも1・2回目は天井をつけた後崩壊と呼べるような急落になった。仮にではあるが、現在の膨れ上がった仮想通貨市場が崩壊したらその影響は甚大になる。まずエルサルバドルはビットコインを法定通貨として採用しており、また同国とブータンは政府がビットコインを大量に買って保有している。仮想通貨市場が崩壊するとこれらの国の財政が大打撃になる。

　そしてアメリカのソフトウェア企業・マイクロストラテジーのようにビットコインを大量に購入してきた企業もある。マイクロストラテジーは「世界一多くのビットコインを持つ企業」として知られ、現在の保有数は約44万枚、時価総額は日本円で約7兆円にもなる。

　ビットコイン価格が上昇してきたことで同社の株価も上がり、最近NASDAQ100指数に採用された。これだけ大量のビットコインを保有していれば、仮想通貨市場が崩壊したら同社の持つビットコインの価値も下がり、その影響で同社の株価も暴落になりうる。

　またイギリスのように年金基金でビットコインに投資をしているケースもある。そして現在では世界の無数の個人・機関投資家がビットコインや他の仮想通貨に投資をしている。これだけ拡大した仮想通貨市場が崩壊したら、何が起こるか想像ができない。