仮想通貨の「ガス代」を改めて解説

仮想通貨の記事などでよく「ガス代」という言葉が出てくるが、仮想通貨のガス代についてまだ理解できていない人も少なからずいるのではないか。日本の仮想通貨取引所で普通に取引をするだけならガス代を意識しなくてもできるのだが、より深く仮想通貨取引をするならガス代について理解しておく方がいい。

仮想通貨取引には不可欠

　仮想通貨の記事などでよく「ガス代」という言葉が出てくる。これはもちろん、プロパンガス・都市ガスといった家庭で使われるガスのガス代とは全く別物だ。

　しかしガス代についてまだよく理解できていない人も少なからずいるのではないか。日本の仮想通貨取引所で仮想通貨の簡単な売買をするだけなら、ガス代を意識しなくてもできる。ただしより深く仮想通貨取引をするなら、ガス代について理解しておく方がいい。

　ガス代とは単純に仮想通貨を取引するにあたって支払う手数料のこと。ただし株やFXなどの取引手数料とはかなり違う性質がある。

　まず仮想通貨のガス代とは、通貨ごとに違うものである点が違う。ビットコインにはビットコインのガス代、イーサリアムにはイーサリアムのガス代がある。そしてガス代は常時変動する。証券会社に支払う株式の取引手数料は約定代金などによって変わるが、基本的に固定されている。

　この「ガス代」という言葉は主にイーサリアムや他の一部の仮想通貨取引に対して使われ、ビットコインなどそれ以外に対しては単なる「取引手数料」と言われることが多い。ただし言葉が違っても両者は同様のものだ。

　そして「ガス代」という言葉自体は、車のガソリンのように仮想通貨にとって不可欠なものであることからその名が使われるようになった。したがって物理的・化学的な意味で都市ガスなどのガスや、ガソリンなど燃料との共通点はない。

　なぜガス代が必要なのかというと、取引処理に参加する人々への報酬とするためだ。ビットコインなどはマイニングという形で取引処理への参加が行われ、マイナーへの報酬が要る。イーサリアムなどはステーキング処理が行われ、バリデータへの報酬が要る。仮想通貨の世界は売買をする参加者がガス代を支払い、それをマイナーなどが報酬として受け取って成り立っている。

　日本の仮想通貨取引所は取引をやりやすくするため、ガス代という言葉を使わず普通に「手数料」という名目で手数料を徴収している業者が多い。つまり日本の取引所で取引をする限り、ガス代を意識しなくてもいいようになっている。

　だが例えば世界最大のNFTマーケットプレイスであるOpenSea（オープンシー）のような海外業者で取引をする場合、ユーザーが直にガス代を支払うことになるので、ガス代を意識しなくてはいけなくなる。

　またNFTのほとんどはイーサリアムのブロックチェーンを使って発行されるので、ガス代は特にNFT取引で意識される。

　海外業者でユーザーが直にガス代を支払って取引をする場合、自分でガス代を計算することが求められる。ネット上にはそのようなユーザーのためのガス代計算サイトもある。また1日のうちでどの時間帯がガス代が高く、どの時間帯が安いか示すサイトもある。

　ここ最近はイーサリアムの取引量増大にともなってガス代が高騰しているという記事も増えた。このような記事で見る「ガス代」を理解すれば、仮想通貨に対する理解がもっと深まる。