今週は米6月CPIが発表され予想を下回る数字で、FRBによる9月利下げ観測が高まった。そして発表とほぼ同時に日銀の介入が行われ大きな円高の動きとなった。また週末には衝撃的な事件が発生した。
今週発表された経済指標の中で最重要だったのは、11日木曜発表のアメリカの6月消費者物価指数(CPI)と思われる。同指数は予想の前年同月比+3.1%を下回る+3.0%で、この発表によってFRBの9月利下げ確率が高まった。
それ以外に発表された主な指標を見ると、11日午後3時に発表されたイギリスの5月GDPは予想の前月比0.2%増を上回る0.4%増だった。12日金曜に発表されたアメリカの6月卸売物価指数は予想が前年同月比+2.3%、結果が+2.6%でCPIとは逆に予想を上回った。
今週の政策金利は10日水曜にニュージーランドが発表し5.5%のまま据え置き。11日には韓国が発表して3.5%のまま据え置きだった。
そして今週は9日火曜夜にFRBのパウエル議長が米上院で証言を行ったものの、利下げについて明確な言及はなく、翌10日の下院における証言でも同じだった。
さらに今週末には衝撃的な事件が起こった。日本時間の14日日曜午前7時過ぎ、米国東部時間で13日午後6時過ぎに、ペンシルベニア州で演説をしていた共和党大統領公認候補のトランプ元大統領が、20歳の青年によって銃撃された。
銃弾はトランプ氏の耳に当たったため、トランプ氏の命には別条はなかった。しかしこの事件は今後の大統領選と来週の金融市場に多大な影響を与えることが考えられる。
今週の金融市場の中で最も特筆すべき動きを見せたのは、為替市場の米ドル/円だった。週明けは1ドル=160円台半ばにあったレートは、その後緩やかな円安が進行して10日から11日にかけて一時162円に接近した。そして11日午後9時半には米6月CPIが発表され予想を下回ったことで、FRBによる9月利下げ観測が高まり発表後は1円ほど円高に動いた。
しかし発表後の10分あまり後にさらに急激な円高の動きがあり、午後10時過ぎには発表前より4円ほど円高の157円台をつけた。この動きは約3兆円規模の日銀による介入と見られる。その後12日にもまた介入らしい円高があり、週の終値も157円台だった。
先週後半に史上最高値を更新した日経225平均は、今週前半は先週以上の暴騰を見せた。8日月曜は小幅下落したものの、9日は場中に800円上昇して41,580円で終了。10・11日にはそれぞれ数百円ずつ続伸して9日から数えて3日連続で史上最高値を更新し42,000円を突破した。
だが11日夜の米CPI発表とその後の日銀介入で円高が進行したため、12日にはそれまでの反動で売りが殺到して1,033円安。週足では278円の小幅高だった。
NY株式市場ではダウ工業平均は8・9日と2日間小幅安が続いた後、10日には429ドル上昇。そして米CPIが発表された11日にも32ドル上昇し、最終日の12日も続伸して週足では625ドル高の好調な週だった。
来週は19日金曜に日本の6月消費者物価指数が発表され、またユーロ圏と南アフリカの政策金利発表がある。しかしこれらよりも、トランプ元大統領銃撃の影響がどこまで週明けの金融市場に出るかが注目される。
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