今週は欧米のインフレ指標が発表され、それぞれ予想を上回る数字と予想通りの結果だった。その一方で週半ばに米長期金利が上昇したことでNY株式市場は軟調な動きが続き、同時に日本の長期金利も2011年末以来12年半ぶりの高値となる1.1%をつけた。
今週はアメリカとユーロ圏のインフレ指標が発表された。31日金曜にはユーロ圏の5月消費者物価指数が発表され、予想の前年同月比+2.5%に対し発表は+2.6%と予想を上回った。ECBは6月に利下げを発表する可能性が高いと見られていたものの、この発表で6月の利下げ確率はやや低下した。
同じ日の夜にはアメリカの5月個人消費のPCEデフレーターが発表され、予想通りの前年同月比+2.7%だった。予想通りとはいえここ最近インフレ率低下がなかなか進まないことを懸念していた市場にとっては、この指標でインフレ再燃の懸念が後退した。
その他に発表された今週の主な指標を見ると、30日木曜にはアメリカの第1四半期GDP改定値が発表され、予想通りの前期比年率1.3%増で速報値時点の1.6%より下方修正された。
主要国の政策金利の発表はなかったものの31日には南アフリカが政策金利を発表し、予想通り8.25%のまま据え置きだった。また同じ日には南アフリカで29日に行われた総選挙の大勢が判明し、与党のアフリカ民族会議(ANC)が民主化以降で初めて過半数を失う波乱があった。
また今週半ば頃にはアメリカの長期金利が高騰して約1ヶ月ぶりに4.6%をつけた。米長期金利の上昇の影響で日本の長期金利も2011年末以来約12年半ぶりとなる1.1%をつけるなど、今週は債券市場で利回りが上昇した1週間だった。
米長期金利高のためにNY株式市場ではダウ工業平均が週半ばに大きく下落。27日月曜はメモリアルデーで休場した後、28~30日にかけて216ドル、411ドル、そして330ドルと3日連続大幅下落で3日間を合わせた下げ幅は1,000ドル近くに。しかし31日になると長期金利が落ち着いたことで、今年最大の上げ幅となる574ドル高をつけた。
東京株式市場の日経225平均は週前半は38,800円付近であまり動かなかったものの、米長期金利高やNY株安を受けて30日の前場中に一時900円以上下落して38,000円を割った。だがその後は30日後場から31日にかけて反発し、週足では159円安の小幅安に留まった。
為替市場では米ドル/円が週半ばに一時日銀の介入以来最高値となる1ドル=157円台後半をつけたが、それ以外はおおむね156円台後半から157円付近で推移した。
仮想通貨市場では先週にアメリカでイーサリアムETFの重要な申請が承認されたイーサリアムが、週明け27日に一時62万円を超えて最高値を更新。しかしその後は新たな買い材料は出ず、週半ばから週末にかけて60万円を挟んだ上下が続いた。
来週はポーランド、カナダ、ユーロ圏、インド、ロシアと政策金利発表が多く、カナダとユーロ圏は利下げが予想されている。世界的なインフレが落ち着いてきており、各国の利下げが少しずつ始まりつつある。またアメリカの5月ADP雇用統計と5月雇用統計の発表もあり、材料には欠かない週になりそうだ。
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