今週の金融市場の動き総括、4月7～11日

今週は米3月CPIが発表され、予想を下回る数字だった。また先週発表された米相互関税の影響で株式市場が大荒れの1週間となり、米政府は関税を90日間停止することで混乱を収めようとした。

日経は5日全て4桁変動

　今週は10日木曜にアメリカの3月消費者物価指数（CPI）が発表され、予想の前年同月比＋2.6％を下回る＋2.4％だった。

　それ以外には重要度の高い経済指標の発表は少なかったが、11日金曜にはアメリカの3月卸売物価指数が発表され予想の前年同月比＋3.3％を大きく下回る＋2.7％と、CPIと同じく予想を下回るインフレ率だった。

　政策金利はニュージーランドとインドのみが発表。9日水曜に発表されたNZの政策金利は予想通り0.25％の利下げで政策金利は3.5％とされた。また同じ日に発表されたインドの政策金利も、予想通り0.25％の利下げで政策金利は6％とされた。

　しかし今週の金融市場にとって最も大きな材料は、日本時間の先週3日早朝に発表されたトランプ政権の相互関税であった。この関税によって世界的な景気後退の懸念が高まり、先週後半の株式市場は大暴落した。

　今週の9日に相互関税の一律10％以外の部分が発動されたものの、市場の混乱を収めるためか発動からわずか十数時間後、日本時間の10日未明には90日間の停止が発表された。ただし中国に対しては停止されず、またアメリカと中国は関税率をどんどん引き上げ週末までにはアメリカ側から145％、中国側から125％になった。

　先週発表された相互関税の影響があまりに大きいとの見通し、そして今週になって二転三転した政策のために今週の株式市場は非常にボラティリティの高い相場となった。

　相互関税による景気後退入りを受けて今週前半も軟調な相場が続き、NYダウは7日月曜、8日火曜と続けて場中に大幅下落した末に約300ドル安で終了。しかし9日の場中に相互関税の90日停止が発表されたことで、この日は大暴騰して2,962ドル高と史上最大の日足上げ幅で終了した。

　だが関税による懸念は消えず翌10日には一時2,000ドル以上暴落した末に1,014ドルで終了し、11日は619ドル高と非常にボラティリティの高い5日間で週を終了。週足では1,898ドル高だった。

　そして東京株式市場もNYと同様に非常に荒い値動きの1週間だった。日経225平均は週明け7日の場中には一時3,000円近くも大暴落し、この日は歴代3位の下げ幅となる2,644円安で終了。

　翌8日には大暴騰相場となり1,876円高。9日は1,298円安だったが関税の90日停止が発表された直後の10日は歴代2位の上げ幅となる2,895円高と再度の大暴騰。11日は1,023円安だった。

　これで今週の日経225平均は5日間全て4桁変動となり、今週だけで歴代2位と5位の日足上昇幅、歴代3位の日足下落幅を記録する歴史的な週となった。

　為替市場もボラティリティの高さは同じだった。今週を1ドル＝145円台からスタートした米ドル/円は、週序盤は円安に動き一時148円をつけた。その後はリスク回避の円買いが多く入り9日に144円まで下げてきたものの、10日未明に関税の90日停止が発表されると再度148円まで円が急落。

　その後10日から11日にかけてまた急激な円高になり、11日夕方には昨年9月以来となる142円台前半をつけた後多少反発して143円60銭で今週を終えた。

　来週は日本の3月消費者物価指数、ユーロ圏の3月消費者物価指数改定値、アメリカの3月小売売上高などが発表される。またユーロ圏、カナダ、トルコ、韓国の政策金利発表がある。

　だがこれらよりも、トランプ政権の関税政策の動向が引き続き市場を揺るがす大きな材料となるだろう。