今週の金融市場の動き総括、4月29～5月3日

今週は日本がGWの連休の週だった。しかし海外では通常営業であり、かつ為替市場では週明けに1ドル＝160円まで円安が進行。そのため政府日銀による介入観測が2回あるなど、日本が連休にも関わらずかなり波乱の1週間だった。

日銀の介入観測が2回

　今週は日本がGWの連休で、東京株式市場は30日火曜から2日木曜の3日間だけの取引だった。しかし海外は通常通りの営業で、かつ重要な発表がかなり多い1週間だった。

　まず経済指標の発表を見ると、今週はアメリカの4月ADP雇用統計と4月雇用統計の発表があった。1日水曜に発表された4月ADP雇用統計は、予想の前月比17万5000人増に対し発表は19万2000人増で予想を上回った。しかし3日金曜発表の4月雇用統計は、予想が前月比24万3000人増、結果が17万5000人増で予想よりかなり低い数字だった。

　これら以外に発表された今週の主な指標を見ると、30日に発表された日本の3月失業率は予想より0.1ポイント高い2.6％。同時に発表された3月有効求人倍率は予想より0.02ポイント高い1.28だった。

　30日にはユーロ圏の4月消費者物価指数が発表され、予想通りの前年同月比＋2.4％だったが、食料品などを除いたコア指数は予想を0.1ポイント上回った。

　そして今週最大のイベントは、日本時間の2日未明のアメリカの政策金利発表であった。金利そのものは大方の予想通り5.25～5.5％のまま据え置き。そして同時に発表された声明とその後のパウエル議長の会見では、今後の利下げを示唆しつつも慎重な姿勢が示された。また会見では今後の追加利上げを否定する発言があった。

　3日にはノルウェーの政策金利が発表され、予想通り4.5％のまま据え置きだった。

　今週最も動きが激しかった相場は、為替市場の米ドル/円だったと思われる。4月10日にアメリカの3月消費者物価指数が発表され予想を上回ると、それまで長い間レジスタンスラインだった1ドル＝152円を突破。そしてその後も円安が止まらなくなった。

　158円付近から今週を開始したものの、29日の週明け早々に急激な円安があり一時は1990年以来34年ぶりとなる160円をつけた。しかしその日の午後、不自然な急激な円高があり一時は154円台をつけるところまで後退した。これは政府日銀による介入と見られている。

　そして2日午前3時にFOMCの米政策金利発表が行われた後、午前5時頃に再度介入と見られる急激な円高で152円近くまで下落。さらに3日発表の米雇用統計後は一時151円台をつけるなど、高値から安値までの差が8円以上もある波乱の1週間だった。

　一方株式市場を見ると、FRBによる利下げの意思が確認されたことでNY株式市場は先週に続き堅調な1週間だった。ダウ工業平均は29日に146ドル上昇した後、30日は発表された米経済指標が好調だったことで一旦利下げ予想時期が後退し今年最大の570ドル下落。

　だが1日に小幅上昇した後、2日はFOMCの発表内容とパウエル議長の会見で今後の利下げが確認され322ドル上昇。3日は米4月雇用統計が予想を下回りまた早期利下げ観測が台頭したことで450ドル高で終わり、週足では289ドル高だった。

　3日間だけの取引だった東京株式市場は、円安の進行を受けてまずまず好調な値動きを見せた。日経225平均は30日に471円上昇し、1日と2日は小幅に下げて週足では302円高だった。

　来週は日本が通常営業に戻る。そしてオーストラリア、スウェーデン、ブラジル、ポーランド、イギリス、そしてメキシコと6ヶ国が政策金利を発表する。アメリカの政策金利発表ほど重要度はないが、それぞれの発表内容次第でその国の通貨が大きく動く可能性がある。