今週の金融市場の動き総括、4月1～5日

今週は米3月ADP雇用統計と3月雇用統計の発表があった。それらの発表結果はどちらも予想を上回り、特に5日発表の雇用統計は大きく上回った。その結果FRBによる利下げ予想時期がさらに遅れることとなった。

日経は週足1,377円安

　今週は重要な経済指標の発表が多かったが、その中でも最も注目度が高かったのは3日水曜発表のアメリカの3月ADP雇用統計と、5日金曜発表の3月雇用統計だったと言える。

　3日発表の3月ADP雇用統計の方は、予想の前月比14万8000人増に対し発表は同18万4000人増で予想を上回った。そして5日発表の3月雇用統計は、予想の前月比20万人増に対し発表は30万3000人増と予想を大きく上回った。同時に発表された3月失業率も、予想の3.9％より0.1ポイント低い3.8％の良好な数字だった。これらの数字を受け、FRBによる利下げ開始時期予想がまた遅れることになった。

　他に発表された今週の主な経済指標を見ると、1日月曜に発表された日本の1～3月期日銀短観は、大企業の製造業・非製造業とも現状は予想を上回ったが先行きの見通しが予想より悪かった。

　3日にはユーロ圏の3月消費者物価指数が発表され、予想の前年同月比＋2.6％に対し発表は＋2.4％でインフレの低下が鮮明になり、ECBによる6月の利下げ確率が高まった。

　政策金利はポーランドとインドのみが発表し、ポーランドは5.75％のまま、インドは6.5％のまま据え置きだった。

　今週は債券市場で米長期金利が上昇したことから、株式市場の地合は良くなかった。NY株式市場ではダウ工業平均が1日は240ドル、2日は396ドル、3日は43ドルと3日連続下落。さらに4日になると場中にバイデン大統領が「ガザの状況は容認できない」と発言したことがリスク回避につながり、この日は530ドルも下落。5日になってようやく反発したが週足では903ドル安だった。

　軟調な地合は東京市場も同じで、日経225平均は週明け1日に566円下落して40,000円を割った。2日は小幅安で終わった後3日も387円安で終了。4日は反発したが5日は市場開始前のバイデン大統領の発言を受けて、781円下落して39,000円を割り、週足では1,377円安だった。

　為替市場では介入警戒でこれ以上円安が進みにくい相場が続き、米ドル/円は週を通してほぼ1ドル＝151円で推移。しかし5日未明のバイデン大統領発言後はやや円高に動き、5日日中には短い時間ながら151円を割った。

　先物市場では先週までの金の上昇が今週も続き、週明けは2,220ドル付近だったNY金は週を通して上昇。ほぼ連日史上最高値の更新が続き、5日には一時2,330ドルをつけた。

　今週を83ドルからスタートした原油価格も同様に週を通して上昇し、5日のバイデン大統領発言で原油供給に対する懸念が広がりまた新たな買い材料に。5日には昨年10月以来となる87.5ドルをつけた。

　来週はユーロ圏、カナダ、ニュージーランド、そして韓国の政策金利発表がある。ECB政策金利発表はまだ利下げは予想されていないものの、同時に発表される声明やラガルド総裁の会見で今後の利下げにどこまで言及するかが注目材料となる。今週発表されたインフレ率が予想を下回ったので、タカ派の内容が出るかもしれない。