今週は米1月ADP雇用統計と1月雇用統計が発表された。しかしそれ以上に大きな材料となったのは、先週末にトランプ大統領が発表した中国など3ヶ国に対しての追加関税であった。中国に対しては実際に発動され、米中貿易戦争懸念が高まり株式市場の売り材料となった。
今週はアメリカの1月ADP雇用統計と1月雇用統計が発表された。5日水曜に発表された1月ADP雇用統計は、予想の前月比15万人増を上回る18万3000人増だった。しかし7日金曜に発表された1月雇用統計は、予想が前月比17万人増、結果が14万3000人増で予想を下回った。
米雇用統計以外に発表された今週の主な経済指標を見ると、3日月曜にはトルコの1月消費者物価指数が発表され予想の前年同月比+41.25%に対し、発表は+42.12%と予想を上回ったが、前月よりは低かった。
同じ日にはユーロ圏の1月消費者物価指数速報値が発表され、予想より0.1ポイント高い前年同月比+2.5%だった。そして7日にはカナダの1月雇用統計が発表され、予想の前月比2万5000人増を上回る7万6000人増だった。
政策金利はイギリスなど4ヶ国から発表された。5日に発表されたポーランドの政策金利は5.75%のまま据え置き。6日木曜に発表されたイギリスの政策金利は予想通り0.25%の利下げで、金利は4.5%にされた。
7日未明にはメキシコが予想通り0.5%の利下げを発表して政策金利を9.5%に。そして同じ日にはインドが発表し、予想通り0.25%の利下げで政策金利は6.25%とされた。
しかし今週の金融市場にとって大きな材料となったのは、先週末に米トランプ大統領が発表し、かつ大統領令にも署名した中国、カナダ、メキシコへの追加関税であった。このうちカナダとメキシコへの関税は1ヶ月延期とされたが、中国は今週から発動。中国もアメリカに対して報復関税を発表し、米中貿易戦争懸念が高まった。
そのため先週と先々週は比較的堅調だったNY株式市場は今週になると下落。ダウ工業平均は3日に122ドル下落した後、続く3日間は細かい上下が続いたものの、7日に444ドル安で終わり週足では241ドル安だった。
一方円高が進行したこともあり、東京株式市場はNY市場以上に大きく下落した。特にトランプ政権が追加関税を発表した直後の3日には日経225平均が1,052円安と4桁の大幅安。この日カナダとメキシコへの関税が1ヶ月延期とされたことで4~6日の3日間は少しずつ反発したが、7日は279円安で終わり週足では785円安だった。
為替市場では米政府による追加関税政策があったにも関わらず円高・米ドル安が進行した。特に5日朝に発表された日本の12月実質賃金がプラスだったことや、同じ日に赤沢経済再生担当相が日本経済について「インフレの状態にある」と発言したことで日銀の早期利上げ観測が台頭。
5日は日中から夜にかけて円高が進行し、週後半に発表された米景気指標が予想を下回るものが多かったこともあり週の終了間際には一時1ドル=151円を割った。
米の追加関税による懸念は仮想通貨市場にも広がった。先週金曜時点で1,600万円を超えていたビットコインだが、追加関税懸念を受けて週末に暴落し3日月曜朝には一時1,430万円をつけた。その後カナダ・メキシコへの関税が1ヶ月延期と発表され反発したものの、4日以降はジリジリと下げ週末には1,450万円をつけている。
来週は12日水曜にアメリカの1月消費者物価指数が発表され前年同月比+2.9%と予想されているが、この数字次第で為替市場などがまた大きく動く可能性もある。そして週明け10日月曜からは中国の報復関税が発動となり、その悪影響も注視の必要があるだろう。
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