今週の金融市場の動き総括、2月24～28日

今週はトランプ政権がEUへの追加関税など新たな関税政策を発表したことで、一時はリスク回避の動きが広がった。また仮想通貨市場は先週末に発生したBybitハッキング事件の影響によって大幅安の1週間となった。

ビットコインは一時1,180万円

　今週は28日金曜夜にはアメリカの1月個人消費のPCEデフレーターが発表され、予想通りの前年同月比＋2.5％だった。またほぼ同じ時間にはカナダの第4四半期GDPが発表され、予想の前期比年率1.8％増をかなり上回る同2.6％増だった。

　それ以外に発表された重要な指標は改定値が多かった。24日月曜にはユーロ圏の1月消費者物価指数改定値が発表され、予想通りの前年同月比＋2.5％で速報値時点と同じだった。25日火曜にはドイツの第4四半期GDP改定値が発表され、予想通りの前年同期比0.2％減で速報値と同じだった。27日木曜にはアメリカの第4四半期GDP改定値が発表され、予想通りの前期比年率2.3％増とこちらも速報値時点と同じだった。

　政策金利は25日に韓国が発表し、予想通り0.25％の利下げで政策金利を2.75％とした。

　そして今週は経済指標・政策金利以外の重要な材料が多く出た。27日朝にはエヌビディアの11～1月期決算が発表され、売上高は前年同期比78％増の393億ドル、純利益は同80％増の221億ドルで、どちらも過去最高の数字だった。

　しかしそれに先立って26日のNY株式市場中に、トランプ政権がEUに対し25％の関税をかける方針を発表。これが株式市場の地合を悪化させた。NYダウは24・25日と小幅上昇した後、26日にはEUへの関税懸念から188ドル下落。翌27日にも193ドル下落したが、28日には601ドルの大幅高で終わり週足では412ドル高だった。

　一方発表されたエヌビディアの決算は良好だったものの、発表直後の27日にはエヌビディア株が8.5％も暴落した。そしてIT銘柄の多いNASDAQ市場も軟調で、NASDAQ総合指数は24日に237、25日に260下落。26日には反発したが27日はエヌビディア株の下げを受けて530も下落し、28日は302反発したが週足では677ポイント安だった。

　一方24日が休日で休場していた東京株式市場も軟調な1週間だった。3連休明けの25日には日経225平均が537円下落し、26・27日には小幅な動きで終了。そして28日になると前日のNY株安を受けて全面安相場となり、場中に一時1,400円以上下げた末に1,100円安で終了。週足では1,621円安だった。

　仮想通貨市場では先週末に海外大手取引所のBybitで大規模なハッキング事件が発生。これが仮想通貨市場の地合を大きく悪化させ、今週になるとアメリカで仮想通貨ETFから多額の資金が流出するとともに仮想通貨市場が大幅下落。

　先週金曜時点では1,500万円だったビットコインは今週になると下げが続き、28日には一時昨年11月以来の安値となる1,180万円をつけた。だがその後は週末にかけて1,300万円付近まで反発している。また他の主要仮想通貨も同様で28日までに下げが続いたがその後は週末にかけて反発した。

　来週はアメリカの2月ADP雇用統計と2月雇用統計が発表され、またユーロ圏の2月消費者物価指数の発表もある。さらにユーロ圏とトルコの政策金利発表もあり材料には欠かない。しかし最大の材料となるのはおそらくトランプ政権の関税政策で、いよいよ4日からカナダとメキシコに発動される。来週も株式市場はトランプ政権の政策に敏感になるだろう。