今週の金融市場の動き総括、2月17～21日

今週発表された日本の2つの経済指標、GDPとCPI、によって日銀の早期追加利上げ観測が高まり、今週の為替市場では円高が進行。また米景気懸念からNY株式市場は軟調な1週間だった。

仮想通貨業界では大事件

　今週は日本から2つの重要な経済指標が発表された。17日月曜には第4四半期GDPが発表され、予想の前期比年率1.0％増を大きく上回る2.8％増だった。また21日金曜には1月消費者物価指数が発表され、生鮮食料品を除いた数字で予想の前年同月比＋3.1％を上回る＋3.2％だった。

　日銀は1月に利上げをしたばかりだが、この2つの指標によって早期の追加利上げ観測が台頭。一部には3月にも次の利上げがあると予想する声も出た。

　これら以外に発表された今週の主な経済指標を見ると、19日水曜にはイギリスの1月消費者物価指数が発表され予想の前年同月比＋2.8％を上回る＋3.0％だった。この統計によってイギリスでは今後の追加利下げ観測が後退した。

　また今週はアメリカで多くの指標が発表されたがその中には予想を下回るものが多く、例えば1月住宅着工件数や中古住宅販売件数などが予想より悪かった。そのため米景気の後退懸念が台頭し、それがNY株式市場の売り材料となった。

　政策金利発表を見ると、18日火曜にはオーストラリアが予想通り0.25％の利下げを発表して金利を4.1％とした。豪は他国が利下げを開始する中なかなか利下げをしなかったものの、今回をもってようやく利下げサイクル入りとなった。19日にはニュージーランドが発表し、予想通り0.5％の利下げで政策金利を3.75％とした。

　すでに述べたように今週発表された景気指標や住宅指標に低調なものが多かったことで、米景気の後退懸念が台頭。また今後次々と発動されるトランプ政権の関税への懸念も残っている。

　これらが売り材料となり、17日がワシントン大統領の誕生日で休場し4日間だった今週のNY株式市場は軟調な1週間となった。ダウ工業平均は18・19日に2桁の小幅上昇を見せた後、20日木曜には451ドル安。さらに21日金曜には748ドル下がり、週足では1,128ドル安だった。

　先週は上昇した東京株式市場もNYと同様に週前半は持ちこたえていたが、後半になって崩れた。日経225平均は17～19日には大きな動きなく39,200円付近に留まった。しかし20日には486円下落。21日にはわずかに反発したが週足では373円安だった。

　また日本の2つの経済指標で日銀の早期追加利上げ観測が高まったことで、為替市場では円高・米ドル安が進行した。週明け1ドル＝152円からスタートした米ドル/円は、週前半には大きな動きなく152円付近で横ばい。しかし後半になると円高に動き、節目の150円を割って今週終了間際には12月上旬以来2ヶ月半ぶりとなる1ドル＝148円台をつけた。

　仮想通貨市場では世界の仮想通貨業界を震撼させる事件が発生した。取引量ベースで世界2位の仮想通貨取引所であるBybit（バイビット）が、22日土曜未明にハッキングの被害に遭い約2,200億円もの仮想通貨が流出した。

　今週のビットコインは週明けから1,400万円台後半で推移し、21日夜には一時1,500万円を回復。だがBybit事件の発表を受けてその後は80万円ほど急落した。

　来週は26日水曜にエヌビディアの11～1月期決算が発表される。中国のAIスタートアップ・DeepSeekが1月末に発表した最新の半導体を必要としないAIによって、エヌビディアの業績懸念が高まった。今期の決算にはまだ影響がないものの、来期の業績見通しがどうなっているかに注目が集まる。