今週は米11月ADP雇用統計と11月雇用統計の発表があったが、それらは無難な数字で金融市場にあまり影響しなかった。一方7日午前中に日銀の黒田総裁が国会で発言し来年に政策を修正すると示唆したことで、為替市場では急激な円高が進行した。
今週はアメリカの11月ADP雇用統計と11月雇用統計が発表。6日水曜に発表の11月ADP雇用統計は予想の前月比13万人増に対し発表は10万3000人増で予想を下回ったが、8日金曜に発表の11月雇用統計は予想が前月比18万人増、結果が19万9000人増で逆に予想を上回った。
それ以外に発表された主な指標としては、6日朝にオーストラリアの第3四半期GDPが発表され予想が前年同期比1.8%増、結果が2.1%増と予想よりやや大きい成長率だった。7日木曜にはユーロ圏の第3四半期GDP確定値が発表され、予想より0.1ポイント低い前年同月比変動なしだった。
8日には日本の第3四半期GDP改定値が発表され、予想の前期比年率2.0%に対し発表は2.9%減とマイナス幅が大きく、速報値時点の2.1%減よりかなり下方修正された。
今週は政策金利の発表も比較的多かった。5日火曜にはオーストラリアが発表し、予想通り4.35%のまま据え置きだった。6日にはポーランドの発表があり同じく5.75%のまま据え置きだった。同日夜にはカナダの政策金利発表があり、5%のまま据え置き。8日にはインドが発表して6.5%のまま据え置きだった。
また今週は日本から大きな材料が出た。7日午前中に日銀の植田総裁が参議院の財政金融委員会に出席して証言。その中で「チャレンジングな状況が続いている。年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になるとも思っている」との発言があった。
市場はこの発言を、植田総裁が来年にマイナス金利解除など異次元緩和政策を修正する用意があるための発言と受け取り、発言後は為替市場で急激な円高が進行した。
米ドル/円は週明け4日から6日までは1ドル=147円付近であまり動かなかったものの、7日午前中の植田総裁発言を受けてこの日の午後から急激な円高・米ドル安が進行。8日午前3時前には瞬間的に大きく下落する「フラッシュクラッシュ」があり、141円台をつけた。だがその後は緩やかな円安が続き、今週の終値は145円だった。
先週は堅調な動きが続き今年の最高値を更新したNY株式市場のダウ工業平均は、今週になると上昇の勢いが止まった。4~6日の3日間は小幅ながら下落し、7・8日には上昇して8日には先週つけた今年の最高値をごくわずかに更新。しかし週足ではわずか2ドル高だった。
そして東京株式市場は円高のために非常にボラティリティの高い1週間となった。日経225平均は4日月曜に200円下がり、翌5日には400円以上下げて6日には600円以上上昇するなど連日の荒い動き。さらに植田総裁発言があり円高が進行したため7・8日と連日で暴落し、2日間の下げ幅は1,100円以上。週足でも1,124円安だった。
来週はアメリカ、ユーロ圏、イギリス、スイス、ノルウェー、ブラジル、ロシア、そしてメキシコと8ヶ国・地域が政策金利を発表する年末の政策金利発表ラッシュとなる。基本的にはアメリカを初め金利据え置き予想が多く金融市場が大きく動くことは考えづらいものの、サプライズで利上げや利下げが発表されると市場が反応することも十分ありえる。
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