今週は株式市場に影響する材料が比較的少なかった。週後半にパウエル議長がタカ派の発言をしたことが株売り材料になり一時は株安になったが、全体的には堅調な1週間だった。
今週は重要な経済指標発表は少なかった。9日木曜には中国の10月消費者物価指数が発表され、予想の前年同月比-0.1%に対し発表は-0.2%と予想を下回った。今年に入ってから中国はデフレに突入しており、10月になっても継続している。
10日金曜にはイギリスの第3四半期GDPが発表され予想の前年同期比0.5%増に対し発表は0.6%増と予想を少し上回った。
政策金利はまず7日火曜にオーストラリアが発表し、予想通り0.25%引き上げられて4.35%とされた。8日水曜にはポーランドが発表し、予想は0.25%の利下げだったがその予想に反し5.75%のまま据え置きだった。10日未明にはメキシコの政策金利が発表されて予想通り11.25%のまま据え置きだった。
そして今週は経済指標や政策金利よりもFRBのパウエル議長の発言が大きな材料となった。パウエル議長はまず8日夜に発言をしたが、この時は経済や金融政策に関する言及はなかった。しかし次の10日未明の発言で「インフレとの戦いを終わらせるために金利が十分高いとは確信していない」「適切であるなら追加引き締めに躊躇しない」などタカ派の内容があったことで、追加利上げ観測が台頭してその後株安と米ドル高材料になった。
パウエル議長の発言は株安材料になったものの、先週金曜に発表された米10月雇用統計が予想より低くFRBの追加利上げ見通しが後退したことで、今週の株式市場は全体的には堅調だった。
NYダウは6~8日までの3日間小幅な上下が続いた後、場中にパウエル議長の発言があった9日には220ドル下落。しかし翌10日には地合が変わり391ドル高で終わり、週足では222ドル高だった。
東京株式市場はボラティリティの高い1週間だった。週明け6日には日経225平均が758円も暴騰したが、翌7日には437円下落。8日は小幅続落した後、9日は480円高とまたも大幅上昇。10日は小幅安で終わり、週足では619円高だった。
為替市場では米ドルが先週金曜の米雇用統計発表後に1ドル=149円台前半まで円高に動き、今週も同じ水準からスタート。しかし今週は新たな円高材料はなく、週を通してほぼ一貫して円安・米ドル高が継続。10日未明のパウエル議長の発言も米ドル買い材料となり、週の終了間際に151円60銭をつけて今年の最高値に接近した。
仮想通貨市場は今週も堅調で、6日から7日夜まで525円付近で推移していたビットコインは、ビットコインETF承認期待から8日未明以降急上昇。一時は570万円まで上昇して今年の最高値を更新した。
また6~8日まで28万円付近にあったイーサリアムは9日夜になってアメリカでETFが申請されると示唆する情報が流れ、その後32万円まで急上昇してこちらも今年の最高値を更新した。
来週はアメリカやユーロ圏の10月消費者物価指数が発表されるが、主要国の政策金利発表はない。焦点は今週の堅調な仮想通貨市場が継続するかどうかと、円安が今年の最高値151円70銭を超えるか、そして政府日銀の介入になるだろう。
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