中国で不動産の碧桂園がデフォルト危機

中国の不動産大手・碧桂園が、今月になって社債の利払いができずにデフォルトの危機に陥っている。中国では近年不動産バブルが弾け、2021年には恒大集団が経営危機に陥った。しかしバブル崩壊の影響は恒大集団だけに留まらず、中国の不動産業界全体に広がっている。

今年1～6月期に巨額赤字見通し

　中国の不動産大手・碧桂園（Country Garden）が、今月7日に期限を迎えていた社債の利払いができずデフォルトの危機に陥っている。7日の期限には支払いができなかったがデフォルトと判断される前には30日の支払い猶予があり、それまでに支払いができればデフォルトは回避できる。逆に言えば猶予はわずか30日しかない。

　中国は1990年頃から経済成長とともに不動産価格も高騰。積極的な不動産開発が中国の高度成長の推進力となってきた。しかし近年は不動産価格の上がり過ぎが批判されており、ついに政府は不動産価格抑制の政策を行う必要が出てきた。

　結果として中国の不動産バブルは崩壊し、2021年に経営危機に陥った恒大集団のような企業が多く出てきている。

　そして今度は碧桂園がデフォルトの危機に陥っている。碧桂園は1992年に創業された不動産ディベロッパーで、広東省仏山市順徳区に本社がある。2007年4月には香港証券取引所に上場した。

　碧桂園の創業者は楊國強氏という男性だが、楊國強氏は2007年の上場前に娘の楊恵妍（ヤン・フイヤン）現会長に碧桂園関連の株式の多くを譲渡した。楊恵妍会長は2023年現在で42歳前後、2007年当時はまだ20代という若さながら、株式を譲渡されたことで一時は341億ドル（現在のレートなら約5兆円）の資産を持つ「アジアで最も富裕な女性」の座についたこともある。ただしの2023年8月までに碧桂園の株価はピーク時よりかなり下落し、楊恵妍会長はすでにピーク時の資産の80％以上を失った。

　恒大集団と碧桂園を比較してみると、恒大集団の売上高は2022年12月期で2,300億元（約4兆6000億円）、碧桂園は2022年12月期で4,300億元（約8兆6000億円）と碧桂園の方が売上の規模が大きい。

　その碧桂園が、7日に支払い期限だった2,250万ドル（約32億5000万円）の社債利払いができなかった。この金額は碧桂園の売上規模から考えると少額だったのだが、それが支払えなかったのだから碧桂園の状況はかなり厳しいのではないかという観測が高まった。

　追い打ちをかけるように、10日には今年1～6月期の中間決算で450～500億元（約9,000億～1兆1000億円）もの巨額赤字になる見通しと発表した。前年である2022年1～6月期は19億1000万元（約3,820億円）の黒字だったので1年間で急激に悪化したことになる。

　デフォルト懸念に加えて巨額赤字見通しも浮上したことで、ここ数日で碧桂園の株価は大きく下落した。碧桂園がデフォルトすればその影響は非常に大きいのだが、中国の不動産バブルがすでに弾けている以上、根本的な経営建て直しはかなり難しいのが現実だ。