マウントゴックスが弁済期限を1年延長

2014年に破綻した仮想通貨取引所のマウントゴックスは、手続きが長引き今年になってようやく債権者への弁済を開始。この弁済がビットコイン他仮想通貨で行われ市場に大きな売り圧力がかかると懸念されていたが、先週になって期限を1年延長して2025年10月末にすると発表した。

一時は売り圧力懸念が増大

　かつて仮想通貨と言えばほぼビットコインしかなかった2010年代前半頃、マウントゴックスという仮想通貨取引所が日本で最大の取引所だった。

　しかしマウントゴックスは2014年2月にハッキングによって数百億円分のビットコインが流出し、それが原因で倒産した。そして民事再生法の手続きは認められず、破産手続きを進めることになった。

　だが2017年に仮想通貨ブームが起こりビットコイン価格が高騰したことで事態が変わった。マウントゴックスに残ったビットコインで債権者に弁済できるメドが立ってきたため、民事再生法への切り替えを申請して承認された。

　その後はパンデミックなどもありなかなか手続きが進まなかったものの、倒産から10年を経た今年7月5日になってようやく弁済を開始と発表された。

　とはいえこの弁済開始でビットコインの市場には懸念が広がった。弁済によってマウントゴックスから債権者に対し、ビットコイン（BTC）が日本円で約1兆5000億円分、ビットコインキャッシュ（BCH）が約100億円分もの仮想通貨が支払われる。

　それが市場にとって売り圧力になりうるため、売り圧力警戒から7～8月にはビットコインが下落。8月5日の東証大暴落時には一時700万円まで下がり、その後も9月上旬に一時750万円をつけた。

　しかし先週10日になって、マウントゴックスの管財人がビットコイン市場に大きく影響する発表を行った。これまでは2024年10月末までと決められていた弁済期限を、1年間延長して2025年10月末にすると発表した。

　これで弁済はゆっくりと行われることになり、10月末までに1兆5000億円分のビットコインが弁済され売り圧力になるという懸念が遠のいた。

　この発表がビットコインにとって買い材料となった。発表直後の11日未明には一旦880万円まで下落したビットコインレートだが、その後週末から14日月曜にかけて上昇が続き、14日夜には8月1日以来の高値となる970万円をつけた。

　マウントゴックスの弁済の他に、アメリカ政府やドイツ政府からの売りの懸念もあり軟調な動きが続いていたビットコインだが、弁済期限延長の発表で今後は上昇基調になるかもしれない。