ネットの偽情報に振り回される市場

14日の早朝にリップルに関するフェイクニュースがネット上で流れ、リップルが急騰。しかし直後に当事者企業が否定するとレートは急落した。ほぼ同じ時間にリップルのガーリングハウスCEOがネット上の偽情報に惑わされないよう警告メッセージを発しており、市場を振り回すネット上の偽情報が問題化している。

偽情報でリップルが乱高下

　14日の早朝・午前6時前後にリップル（XRP）に奇妙な動きがあった。それまでは98円台で緩やかな下げを続けていたリップルが、午前6時前に突然110円まで暴騰したのだ。ところがその30～60分後には今度は100円未満まで暴落して元の水準まで戻ってしまった。

　実はこの動きはネット上に流れたフェイクニュースによって起こったもの。つい数日前の9日深夜に、世界最大級の資産運用会社・ブラックロックがデラウェア州で「iShares Ethereum Trust」という法人を登録していたことがわかった。この登録はイーサリアムETFの申請の前準備と見られており、登録のニュースが流れるとイーサリアム価格が急上昇した。

　そして14日午前6時前には「iShares Ripple Trust」という法人がデラウェア州で登録されていたとの情報がネット上で流れた。投資家はこれを見てブラックロックがリップルETFの申請を準備していると判断し、リップルに買いが殺到して110円まで上昇した。

　しかしブラックロックはフェイクニュースが流れてすぐにこの情報を否定したため、午前6時過ぎにはリップルのレートはまた100円未満まで急落してきた。

　午前6時前に流れた情報は単なる文字情報ではなく、「iShares Ripple Trust」との言葉とブラックロック関係者の名前がある申請書の画像もあった。そのため多くの投資家が信じたようだが、この申請書の画像はブラックロックによって申請された本物ではなかった。

　このようなネット上の偽情報に金融市場が振り回されるケースが増えている。14日早朝のリップル乱高下とほぼ時を同じくして、リップルのブラッド・ガーリングハウスCEOがX（旧Twitter）で、ネット上のフェイクニュースについて警告メッセージを発信した。

　ガーリングハウスCEOは「リップル社のイベント映像を偽の文字情報で置き換えて作成したフェイク動画が出回っています。そういったものを信じないで、確認をして下さい（全ての正しい情報はリップルの公式アカウントを通して発信されます）」と述べていた。

　ガーリングハウスCEOがこのような警告を出すだけあり、ネット上の偽情報はかなり出回っていると思われる。現在のところ株式市場に関する偽の情報を流すと、「風説の流布」という罪に問われる。

　だが仮想通貨市場に関してはそのような法律が整備されていないため、平気でフェイクニュースを流す人々が出てきている。各国政府は将来的には仮想通貨に関する「風説の流布」を取り締まる法律を整備する必要があるのではないか。