数年前から破綻のリスクが高まっていると言われるドイツ銀行だが、4月30日に償還可能日となるAT1債の償還を行わない方針であるとの情報が流れた。この情報によってドイツ銀行はかなり破綻に近付いているのではないかという憶測が高まっているが……。
最初に言っておくと、ドイツ銀行とはドイツの民間銀行で中央銀行のことではない。ドイツはユーロ圏の一部であり、中央銀行はECBになる。普通は「日本銀行」など国の名前がついた銀行は中央銀行であるが、ドイツ銀行は一民間銀行にすぎない。
そのドイツ銀行だが、ここ数年は経営危機が盛んに報じられている。経営危機に陥っている理由はいろいろある。LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)を不正に操作していたため、いくつかの国から巨額の制裁金を課され、さらに多くの企業から提訴されたこと、マネーロンダリングに関わっていたとしてドイツ当局からの捜査を受けていること、さらに本業が振るわないことなどが経営危機の理由と見られている。
そしてドイツ銀行は先週になって、12億5000万ドル(約1,310億円)分のAT1債が4月30日に償還可能日を迎えるが、償還しない方針であると述べた。ではAT1債とは何か?
AT1債はCOCO債(偶発転換社債)の一種と言われる場合が多いので、まずはCOCO債から説明してみよう。COCO債とは銀行が発行する社債の一種。普通は「転換社債」と言うと、投資家が権利を行使することによって株式に転換できる債券を指す。
COCO債はそこに「偶発」という2文字が加わっているが、COCO債の場合は投資家ではなく発行元銀行が自己資本比率が一定以下になるなどの条件を満たした場合、株式に強制的に転換されたり元本が一部削減されるなどの措置が取られる社債になる。投資家側に選択肢がないということはリスクが高いので、その分利回りは高く設定されている。
ではAT1債とは何かというと、AT1債は「その他ティア1債」とも呼ばれる。「ティア1」というのは株式と並んで銀行の自己資本に含まれる資本を指すので、AT1債を発行して調達した資金は銀行のティア1資本に含まれる。つまり「ティア1」が意味するのは銀行の資本の区分であって、投資家にとってはそれほど関係がない。
AT1債は銀行が発行して資金を調達するための社債であるが、永久債として分類され一般的な社債のような償還日は設定されていない。代わりに「償還可能日」が設定されており、発行元は償還するかしないかを選択できる。
今回ドイツ銀行が下した決断は、4月30日が償還可能日のAT1債を償還しないというものだった。しかしこれはそれほど大事件とは言えない。というのもAT1債はもともと償還するかしないかは発行元に委ねられているからだ。
ただしこれまでAT1債を発行してきた銀行はほとんど償還しており、ドイツ銀行が償還しないと述べたことで、「やはりドイツ銀行は経営が苦しい」というメッセージを市場に流したことは確か。
しかしこの件だけでドイツ銀行がすぐ破綻するという意味ではなく、破綻があるとしてももう少し先に何か別の要因があった場合になるだろう。
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