トルコが約1年ぶりに利上げ

トルコが17日午後8時に政策金利を発表。予想は42.5％のまま据え置きだったが、サプライズで3.5％の利上げが発表されて46％とされた。サプライズで利上げを発表した背景には、3月19日にイスタンブール市長が逮捕され政局懸念が高まり、その後リラ安が続いていることがあると見られる。

逮捕後全土に抗議デモ

　トルコが17日木曜午後8時に政策金利を発表した。今回は42.5％のまま据え置きが予想の大半だったものの、一部には利上げ予想もあった。そして市場にとってはサプライズとなったが、3.5％の利上げが発表されて政策金利は46％とされた。

　最近2年ほどのトルコの政策金利動向を振り返ってみると、2年前の2023年4月時点では8.5％だった。しかし翌5月の大統領選でエルドアン大統領が再選されると、経済などへの懸念が高まり選挙後には通貨・リラが大きく下落した。

　それ以前は利上げに対して消極的だったエルドアン大統領だが、ここで利上げを容認する方向に姿勢を転換。その後は中銀がかつてないほどのハイペースで利上げを進め、翌2024年3月までに41.5％も引き上げて50％とした。

　その後しばらくの間は50％のまま据え置きを続けていたが、昨年12月から今年3月にかけて3回連続で利下げを発表して42.5％とした。また今後も利下げを続けると見られていた。

　そのような状況を全て変えてしまったのが、3月19日のイマモール市長の逮捕だ。イマモール氏は最大都市・イスタンブールの市長で、次期大統領選では野党・共和人民党（CHP）の公認候補になりエルドアン大統領の強力な対抗馬になると見られていた。

　そのイマモール氏が逮捕されたのは、エルドアン大統領による政治的弾圧の目的があるとの見方が多い。そしてトルコではこの逮捕に抗議するために、逮捕後に大学における学生のデモを含めた抗議デモが全土で行われるなど政治的に非常に不安定になってきている。

　政局の不安定化によってトルコリラも下落。逮捕前は1ドル＝36.5リラだった米ドル/トルコリラは、逮捕直後に一時的に42リラの史上最安値まで下落し、その後は38リラ付近に留まっている。

　トルコリラ/円も同様で、逮捕前に1リラ＝4円だったレートは逮捕直後に3.6円台まで下落。すぐに3.9円付近まで反発したが為替市場で円高が続いていることもあり対円ではその後も下げが続き、先週には一時3.7円に接近した。

　昨年3月以来約1年ぶりの利上げはそのような状況で行われた。次回・6月19日の政策金利発表でどのような発表が行われるか予想するのは難しいが、場合によっては2会合連続の利上げもあるのではないか。