サッカースターのC・ロナウドが提訴される

サッカーのスーパースターであるクリスティアーノ・ロナウドが、仮想通貨取引所バイナンスの広告宣伝に関わっていたことで、米で投資家から日本円にして1,000億円以上の巨額賠償を求めて提訴された。

NFTの価格下落の賠償

　クリスティアーノ・ロナウド（C・ロナウド）と言えば、男子サッカー界で世界最高レベルと言われるスーパースターだ。1985年にポルトガルで生まれたC・ロナウドは、成人してからイギリスのマンチェスター・ユナイテッドやスペインのレアル・マドリードといった欧州の一流チームでプレイ。常に素晴らしい結果を残してきた。

　すでに38歳になりサッカー選手としては晩年を迎えた彼は、昨年末にサウジアラビアのサッカーチームから誘われ2023年は同国でプレイしている。

　しかしそのC・ロナウドに思わぬところから攻撃が来た。アメリカで仮想通貨取引所・バイナンス（Binance）の取引に関連した理由で、彼が10億ドル（約1,470億円）という途方もない金額の損害賠償を求めて提訴されたのだ。提訴された場所はフロリダ州の連邦地裁。

　提訴した理由は、C・ロナウドがバイナンスが販売したNFTの広告宣伝に参加していたためとのことだった。バイナンスは2022年末に、「CR7」と呼ばれるNFTコレクションを販売開始。この名につけられているCRとは、C・ロナウドのイニシャルを意味する。

　問題はここで販売されたNFTが、その後価値が暴落したことにある。CR7には複数のNFT商品が含まれていたが、一番安いものは販売開始当時77ドル（現在のレートで約11,300円）だった。

　ところが今年になってからNFT市場全般が低迷していることもあり、C・ロナウドのNFTの価値も暴落。現在では77ドルだったNFTがなんと1ドル（約147円）にまで暴落してしまったという！

　そのためこのNFTを買った投資家らが、損失に対する賠償を求めて広告宣伝に参加していたC・ロナウドを提訴した。また中にはアメリカで未登録証券とされる取引所トークンのバイナンスコイン（BNB）を購入してその後出た損失の賠償を求めている者もいる。

　しかしこれはかなり言いがかり的に見える。C・ロナウドは広告宣伝に参加していただけで、価格下落に対しては責任がない。この訴訟で原告側が勝訴する可能性はかなり低いのではないか。

　日本であった似たような訴訟に、2011年に破綻した安愚楽（あぐら）牧場の件がある。安愚楽牧場は和牛に投資をするとの名目で資金を集める商法でかなり長い間運営されてきたが、2011年に破綻した。

　破綻後、運営当時広告宣伝に関わっていた元政治家の海江田万里氏に対し、投資家が損害賠償を求めて提訴。しかしこの裁判は一審、二審とも原告敗訴で終わり、上告も棄却されて2017年に原告敗訴で完全終了した。

　安愚楽牧場の裁判と同様、C・ロナウドが広告宣伝に関わっていてもその責任を認められる可能性は低い。ただし裁判に絶対はないので、最後までわからない感はある。

　ブラジルでは同じサッカーの元スーパースター・ロナウジーニョが詐欺事件への関わりを疑われて議会に召喚される件があった。世界的なアスリートでも金融関連の訴訟や捜査に巻き込まれるケースが目立っている。