インテルはまたも巨額赤字で追加リストラへ

日本時間の25日早朝にインテルが1～3月期決算を発表。売上高は前年同期とほぼ同じだったが、赤字額が前年同期の約2倍となる8億ドルだった。インテルは近いうちに追加リストラを発表すると述べていた。

AI向け製品で遅れ

　24日のNY株式市場終了後（日本時間25日早朝）に、米半導体メーカーのインテル（銘柄コード：INTC）が1～3月期決算を発表した。

　その内容によると、売上高は前年同期とほぼ同じの127億ドル（現在のレートで約1兆8000億円、以下同じ）で、市場予想の123億ドル（約1兆7600億円）を上回った。

　純損益は前年同期の4億ドル（約572億円）の赤字から約2倍となる8億ドル（約1,140億円）の赤字。EPS（1株あたりの損益）は0.19ドルの赤字だった。

しかしこれらの数字は、アメリカの正式な会計基準に基づいたGAAPベースの利益額。インテルを含めた一部の米企業はGAAPベースの他に、非公式なnon-GAAPベースの数字も公表している。

　non-GAAPベースでのインテルの今期の純利益額は、前年同期の8億ドル（約1,140億円）から24％減の6億ドル（約860億円）。EPSは0.13ドルで、市場予想の損益なし0ドルを上回った。

　インテルはかつて半導体で世界一のシェアを誇った企業で、パソコンのCPUと言えばインテル製のものがほとんどだった。だが最近はAMDなどの競合他社が台頭しており、スマホのCPUはiPhoneならAppleの自社開発のもの、Androidならクァルコム製のものがほとんどのスマホで使われている。

　そしてここ数年インテルの業績を圧迫している要因が、インテルがAI（人工知能）向けの製品に対応できていない点だ。2022年暮れにリリースされたChatGPTをきっかけとして、AIが世界で爆発的に広がった。だがインテルはAIに対応する製品でシェアを奪えず遅れている。

　これらの理由からここ数年は業績が低迷し、赤字決算が増えている。そして経営建て直しのためにこれまでにも何度かリストラを発表してきたが、23日にも今週中に新たなリストラ計画を発表するであろうとの情報が流れた。現在のところインテルは全世界に11万人弱の従業員がいるが、そのうち20％以上を削減する大規模なリストラになるらしい。

　前日を21.49ドルで終えていたインテル株だが、低調な決算を受けて25日のNY株式市場序盤で同社の株は8％以上安い水準まで下落している。

　インテルとしてはかつて半導体市場を支配していたころの勢いを取り戻したいところだが、現在の状況ではそれはなかなか難しいようだ。