NFTでもビットコインがイーサリアムを押し始める

NFTといえばイーサリアムのブロックチェーン上で発行されるものが主流だったが、昨年からはビットコインのチェーン上でも発行され始めた。そして今週4日には、過去24時間のビットコインチェーン上のNFT取引額がイーサリアムのそれを上回ったとの数字が出た。ビットコインはNFTでもイーサリアムを押し始めている。

ビットコインNFTは2023年頃から

　仮想通貨の派生物として2021年頃から爆発的に広まったNFT。NFTは「ノン・ファンジブル・トークン」の略で、画像や音楽などのデータに複製ができない識別情報をつけて唯一のものとして売買するために使われる。

　ブロックチェーン技術の普及とともにNFTは2021年頃から爆発的に普及。その後2022年には仮想通貨市場の低迷とともにNFTの取引量も減少したが、ここ最近はまた増えてきている。

　そしてNFTの普及が始まった当初、NFTのほとんどはイーサリアムのブロックチェーン上で発行されていた。そのためにイーサリアムはNFT需要で今後上昇するのではないかとの期待から買いが入ったものだ。

　しかしその状況を仮想通貨の王者・ビットコインの支持者が黙っていなかった。ビットコインのブロックチェーン上でNFTを発行するための「Ordinals（オーディナルズ）」というプロジェクトが2022年に立ち上がった。

　そしてOrdinalsの技術によって、2023年初頭頃からビットコインのチェーン上で発行されたNFTが出回るようになった。

　イーサリアムのNFTは仮想通貨がブームだった2021年頃に取引量が最初のピークに達した。2021年8月は月間で約40億ドル（現在のレートで約6,000億円、以下同じ）、2022年1月には50億ドル（約7,500億円）近くが取引された。

　その後は仮想通貨ブームの終了とともに激減して、2022～23年は10億ドル（約1,500億円）未満の月が続いた。

　一方2023年初頭から取引が始まったビットコインNFTは、ビットコインの知名度もあり比較的すぐに広まっていった。ただし2023年半ばまでは多い月でも1億ドル（約150億円）を超えた程度で、まだイーサリアムNFTには差をつけられていた。

　この状況が変わったのは昨年12月で、この月はビットコインNFTが大きく伸びて約8億7000万ドル（約1,300億円）、イーサリアムNFTが約3億6000万ドル（約540億円）と2倍以上の差をつけて逆転した。

　1月はほぼ同額、2月はイーサリアムNFTの方が1.5倍以上多かったのだが、今週4日になって「過去24時間のNFT取引額でビットコインNFTがイーサリアムを上回った」との数字が流れた。

　すでに12月は月間で逆転しており、そして今週4日は24時間でも逆転が見られた。一時はイーサリアムが圧倒的なシェアを持っていたNFTだが、ビットコインはNFTの分野でもイーサリアムを押し始めている。