FTX創業者についに有罪判決

昨年11月に破綻したFTXのフリード元CEOは、破綻前に詐欺やマネーロンダリングといった犯罪行為に加担していたとの罪状で起訴されていた。そして今週2日についに有罪と決まり、今後の量刑裁判で最大110年もの懲役刑に処される可能性がある。

今回有罪の罪状は7つ

　昨年11月に破綻したFTXの創業者、サム・バンクマンフリード元CEOが、今週の2日木曜についに有罪判決を受けた。

　この裁判について詳しく述べる前に、日米の裁判制度の違いについて簡単に話しておきたい。日本の刑事裁判では有罪無罪と量刑が同時に判決で出されるが（さらに起訴されれば無罪になることはほとんどない）、アメリカではまず「有罪か無罪か」を決め、その後量刑判決が出る。したがって2日に決まったのはフリード被告が有罪になったことで、懲役何年になるかは来年3月に決まる。

　また有罪か無罪かを決める段階では陪審員が集められる。これは日本で言う裁判員で一般市民が裁判に参加するための制度。アメリカの裁判における陪審員は12人で、フリード被告の裁判では男性3人、女性9人だった。

　さらにアメリカは複数の罪状があった場合、全て加算されるので懲役が数百年になる場合もある。日本は複数の罪でも全て加算ではないのでそこまで長い懲役にならない。

　世界最大手の仮想通貨取引所であるFTXは昨年11月に破綻。しかし単に経営が傾いて破綻したのではなく、破綻に至ったのはフリード元CEOがFTXの顧客資金を関連会社のアラメダ・リサーチの事業に流用するなど多くの問題行為を行っていたためと当局が判断した。

　フリードCEOは破綻後しばらく身を隠していたものの、昨年12月12日に潜伏先のバハマで逮捕された。そして逮捕後のかなり早い時期に検察によって起訴された。

　なおフリード被告の罪状の数は、今週の判決まで何度か変更されてきた。昨年12月の最初の起訴当時の罪状数は8つだったのだが、バハマからアメリカの身柄が引き渡された後、今年3月には5つ追加されて13となった。

　6月には後から追加された5つの罪状について、来年3月に別の裁判が行われることが決定。ここで一旦8つに戻った後、10月には1つが検察によって取り下げられ最終的には7つとなった。

　そして2日の判決では、7つの罪状全てについて有罪とされた。この7つの罪状は、

1. FTX顧客に対する電子詐欺
2. FTX顧客に対する電子詐欺の共謀
3. FTXへの貸し手に対する電子詐欺
4. FTXへの貸し手に対する電子詐欺の共謀
5. 有価証券詐欺の共謀
6. 商品先物詐欺の共謀
7. マネーロンダリングの共謀
   
   の7つになる。2日の判決が出た瞬間、出席していたフリード被告の両親は泣き崩れた。

　今後は来年3月に別裁判とされた5つの罪状の裁判や、今回の有罪判決の量刑裁判が行われるが、7つの罪の合計でフリード被告は最大で懲役約110年の量刑が課されると予想される。一時は個人資産が140億ドル（約2兆円）にもなると言われた時代の寵児は、ドン底まで転落することになったようだ。