1日で価値が10万分の1になった仮想通貨

タイムコインという仮想通貨があり、この通貨は8日午前中には1枚あたり10万円以上の価値を持っていた。ところが8日正午頃に突然大暴落し100円未満になり、さらに9日の午後4時頃には1円と24時間あまりで10万分の1にまで大暴落してしまった。

昨年11月に上場の通貨

　タイムコイン（TMCN）という仮想通貨がある。この通貨は8日水曜午前中には日本円で10万円以上の価格をつけていたのだが、8日正午頃に突然100円未満まで大暴落。その後も下げは続き9日木曜の午後4時頃には1円をつけ、24時間あまりで価値が10万分の1になってしまった。一体この通貨に何が起こったのだろうか？

　まずはタイムコインについて簡単に振り返ってみよう。タイムコインを発行した企業の親会社は、グローバルウェイ（銘柄コード：3936）というマザーズに上場しているIT企業になる。グローバルウェイはクラウド開発などの事業をやっている。

　そしてグローバルウェイは、2019年6月にタイムチケットという子会社を設立した。同社は「TimeTicket」という、ウェブデザインからプログラミング、それに美容関連などあらゆる個人のスキルを売買できるサイトを運営している。

　さらにタイムチケットはスイスにTimeTicket GmbHという子会社を設立した。この企業は「eSportStars」というeスポーツ（ゲーム）関連のサービスを運営。eスポーツのプロとファンが直接対戦できる大会などを開催している。

　タイムコインとは、TimeTicket GmbHがサイト「TimeTicket」やeSportStarsで使える仮想通貨として発行したもの。IEOを通して発行され、昨年11月にシンガポールの仮想通貨取引所・BitForexに上場された。

　タイムコインは今年1月にはまだ日本円で2,000円程度の価格だったが、世界的な仮想通貨ブームもありその後順調に上昇。9月中旬には3万円を超えた。そして9月下旬になると暴騰を開始し、10月21日には最高値の75万円をつけた。

　その後価格は下落に転じ12月8日午前中には13万円付近で推移していた。ところが午前11時頃から異変が起こる。タイムコインのレートは突然凄まじい勢いで大暴落し、午後1時には100円未満になってしまった。その後も大きな反発は見られず、9日の午後4時過ぎには一時1円をつけて前日午前中の10万分の1になる。

　市場の観測では、それまでかけられていたロックアップが解除されたことが暴落の原因と見られている。ロックアップとは株のIPOによくかけられるもので、上場後しばらくの間は経営陣などの大株主の売りを禁止する措置。それによって上場後の株価暴落を防ぐ狙いがある。

　しかしロックアップは永遠にはかけられないので、いずれは解除される。そして8日のタイムコインの大暴落も、ロックアップ解除によって起こったと見られている。

　6月にはTITANという仮想通貨が1日で数十億分の1まで大暴落したことがあった。TITANの場合はその特殊な売買条件のために、システムがすごい勢いで売りを繰り返したことが大暴落の要因だったと言われる。

　TITANにしてもタイムコインにしても、ビットコインなど主要な仮想通貨ではないいわゆる草通貨は、このように突然大暴落するリスクを秘めている。