米週間原油在庫発表を学ぼう

原油価格に大きく影響を与える統計指標として、アメリカのエネルギー情報局（EIA）が毎週発表する週間原油在庫がある。為替相場に影響する各種経済指標はいろいろなサイトで紹介されているが、先物銘柄である原油に影響するこのような指標はあまり紹介されていないことが多い。

毎週水曜午前10時半に発表

原油価格はいろいろな要因で動くし、また為替レートなども影響しているのも確かだ。しかし他の金融市場には影響せずに特に原油だけに影響する統計指標として、米EIAが毎週発表するのが週間原油在庫だ。

最初に発表時間から述べると、この統計は毎週水曜の米国東部時間で午前10時半に発表される。つまり、アメリカが冬時間の間（この記事を書いた2月5日もそれに該当する）は日本時間で木曜の午前0時半になり、夏時間の間は水曜の午後11時半になる。そして発表されるのは、前週金曜時点の在庫だ。

ちなみに先物ニュースなどで流れるのは「アメリカにおける原油の在庫」という1つの指標のみであることが多いが、実際にEIAが発表するのはかなりいろいろな数字だ。単純な原油在庫以外にも、例えばガソリンの在庫や灯油の在庫なども発表されている。また原油の在庫にしても、東海岸や中西部など、地域ごとの在庫も発表される。その中でもやはり、「アメリカ全体の原油の在庫」が最も重要であり、それが先物ニュース記事などで出てくる。

とりあえずこの指標がどのように原油価格に影響与えるかについて述べると、単純に言えば発表された在庫が多ければ原油価格は下がり、また少なければ上がる。ただし多い少ないの問題だけではなく、他の経済指標のように市場の事前予想よりも高いか低いかもポイントとなる。

またアメリカ全体の原油在庫以外にも、クッシングの在庫も重要視されることが多い。クッシングとはオクラホマ州の場所のことで、ここではWTI原油の受け渡しが行われる重要な場所だ。WTI原油のWTIとは、ウエスト・テキサス・インターミディエイトの略。WTI原油とは、テキサス州とその周辺で産出される原油で、原油価格の指標として昔から使われている。その原油の受け渡し地点がクッシングであり、その地点の在庫はかなり重要な意味を持っている。

つい最近まで原油価格はもう何があっても下がるという雰囲気だったが、先週からアメリカの石油業界関連の労働組合がストライキに入って、少しだけ上昇した。日本時間の水曜夜にこのような統計があり、原油価格に大きく影響することを知っておけば、原油先物の取引も少しやりやすくなる。