株と仮想通貨の同時暴落もありえる

米早期利上げ観測を背景に、年明け以降株式市場は軟調な動きが続いている。そして仮想通貨市場も去年暮れから下げが続いており、場合によっては株式と仮想通貨市場の同時暴落という事態もありえる。

ビットコインは最高値の半値

　2020年春以降と21年は、各国の膨大な金融緩和を背景として空前の株高が続いた。日本でも日経225平均は1989～90年のバブルの頂点以来となる30,000円まで上昇した。

　また各国政府・中銀は予想していなかったことだが、2020～21年は同時に仮想通貨市場も高騰。例えばビットコインは2017年に230万円の高値をつけたが、2021年にはそれを遥かに超える700万円台まで高騰した。

　しかし2022年になって空前の株高も先行きが怪しくなってきている。日本以外の多くの国、特にアメリカでインフレが進行しているため、FRBは早期の緩和縮小と利上げを迫られるようになった。

　NYダウは年明け以来14営業日中10営業日で下落。また1回あたりの下げ幅も大きく、今週は4営業日しかなかったが合計で1,600ドル以上の下げ幅だった。NASDAQ総合指数も下げが激しく、1月21日には昨年6月以来となる14,000割れ、13,000台をつけた。史上最高値は昨年11月22日の16,212だが、1月21日の終値・13,768はそこから15％以上も低い。

　そして年明けになって仮想通貨市場も大きく下げている。元日時点で540万円付近だったビットコインは特に20日以降に下げが加速し、22日土曜には昨年7月以来半年ぶりの400万円割れ、300万円台を見せた。780万円の最高値をつけたのは昨年11月10日なので、わずか2ヶ月半で50％もの大暴落となる。

　他の主要通貨も同様で、イーサリアムはビットコインと同じ昨年11月10日に史上最高値の55万円をつけたが、その後下げが継続。1月20日を過ぎると下げが加速し、22日夜には26万円で最高値の半値以下になった。

　バイナンスコインも昨年11月7日に最高値の7万5000円をつけた後は下げ続け、1月22日には3万8000円とビットコイン、イーサリアムと同様に最高値から半値近くまで暴落した。

　カルダノに至っては昨年9月2日につけた最高値が34万円だったが、今年1月22日には一時10万円と3分の1未満になった。

　これから世界的な利上げが進むと予想されるが、そうなると仮想通貨市場は厳しい。ステーキングなどの例外的な方法はあるものの、仮想通貨は基本金利がつかないために金利が上がると相対的価値は下がる。また利上げによって世界的にリスク回避の流れが広まることは避けられない。

　利上げが進むと株式市場が暴落することが懸念されているが、それは仮想通貨市場でも起こりうる。いや、もうすでに起こっていると言ってもいいかもしれない。