来週は水曜に日銀が金融政策発表

ギリシャ問題と中国株式市場の暴落で揺れている金融市場だが、中央銀行の金融政策発表は変更なく行われる。来週は14・15日に日銀の金融政策決定会合があり、15日の午後に金融政策が発表される。

追加緩和の可能性は低いか

日銀の金融政策発表は6月19日以来約1ヶ月ぶりとなる。ちなみに、これまで年14回開催されてきた金融政策決定会合が、来年から8回に減らされるとすでに発表されている。これはFRB、ECBなど他の主要国でも年8回であるところが多いため、他国に合わせた措置だ。

今回の決定会合では、いつものように追加緩和があるかどうかが争点になる。しかし今回追加緩和があると見る市場関係者はかなり少ない。日銀が目標とする物価上昇率はまだ0％付近で低迷しているので、なんとかしないと「2016年度前半」という目標が達成できなくなる。

しかしすでに2回の金融緩和発表を経て、現状はこれ以上の追加緩和はかなり難しい。その理由はいくつかある。理由の1つが、現在でも年間80兆円という莫大な額の国債を買い入れているので、市場にこれ以上追加で買える国債が少なくなっている事実だ。

日本は1000兆円の借金があるなどと言われているが、市場に出回っている国債は無限ではない。また銀行や生保などの機関投資家は投資先として日本国債が必要なので、日銀が全て買ってしまうと問題になる。だからこれ以上国債買い取りの増額は難しいのだ。

追加緩和がやりにくいもう1つの理由に、これ以上の円安になると日本経済にとってリスクが大きい点がある。日銀が去年10月に追加緩和を発表したが、当時の米ドル/円レートは108円付近だった。

日銀は追加緩和当時、追加緩和をしても極端な円安にはならないと考えていたと思われる。しかしその予想は外れて円は追加緩和後に急落し、今年になってから120円以上が当たり前になってしまった。

円安の行き過ぎは食料品など輸入物価の高騰を起こし、消費者は生活が苦しくなっている。消費者の生活が苦しくなると消費が低迷し、景気に悪影響を及ぼす。日銀の黒田総裁は6月10日に国会で「これ以上円安になるとは考えにくい」という異例の発言を行って、円安をけん制した。この発言は、日銀の中で円安に対する警戒がかなり高まっていることを示している。

最近ではギリシャ問題のためにリスク回避姿勢が広がり、やや円高になっている。そのために一時懸念されたような130円に近づくという超円安の進行はないが、追加緩和をしたらまた円安が急激に進行する可能性が高い。

これらの要因を考えると、来週の決定会合は無難に現状維持が発表されると予想できる。そしてその後の黒田総裁の会見では、景気や金融政策についてどのような発言があるか注目される。

来週は日銀以外にも、ユーロ圏とカナダの政策金利発表がある。こちらも現状維持の予想が大半なので、来週の荒れ相場要因はやはりギリシャと中国になるだろう。