日本で仮想通貨の株式市場での取引に道

昨年米でビットコインや他の仮想通貨のETFが上場されたものの、日本ではまだ同様の金融商品が上場できる見通しはない。しかし大手ネット証券が最近、ビットコインETFを組み入れたファンドの組成を検討していると述べ、間接的にではあるが日本でビットコインを株式市場で取引できる道筋が見えてきた。

現行法下では直接的には難しいか

　昨年は仮想通貨市場が大きく上昇した年だったが、それには主に2つの要因があった。1つ目は昨年1月にアメリカでビットコインETFが初めて承認され、その後イーサリアムなど他の仮想通貨のETFも上場申請・承認されたことだ。そして2つ目は11月の米大統領選で、仮想通貨に好意的なトランプ氏が勝利したことだった。

　すでにアメリカ以外でもカナダ、ドイツといった国では仮想通貨のETFが上場されている。そのため日本の仮想通貨投資家としては、日本でもビットコインをはじめとする仮想通貨ETFを期待したいところだろう。

　日本で仮想通貨ETFが実現した場合、最大のメリットは税制だ。現在のところ仮想通貨から得られた利益は総合課税で住民税と合わせて最大55％（＋少額の復興特別税、以下同じ）がかかる。

　それに対して株、ETF、投資信託などから得られた利益は申告分離課税の一律20％なので、特に多額の利益が出た場合に非常に有利となる。さらに3年間の損失繰越もできる。

　日本で仮想通貨ETFを実現するとしたら、まずはビットコインETFを実現したいところだ。しかし残念なことに、現在のところアメリカで上場されたビットコインETFを日本で取引する方法はない。現在では多くの証券会社が外国株商品として米国株を扱っているが、その中にビットコインETFは追加されていない。

　また日本で独自にビットコインETFを組成することができるかというと、現在の法律下では難しい。日本の法律では投資信託を使って投資ができる資産を「特定資産」と定義しているが、特定資産に仮想通貨が含まれていない。そのため仮想通貨ETFを実現するためには、まずその法改正をしなくてはならない。

　だが1日になって、ネット証券大手のSBI証券がビットコインETFを投資対象としたファンド（投資信託）を検討しているという情報が流れた。つまり日本でまだアメリカのビットコインETFを外国株として扱えず、またビットコインETFの組成ができなくても、ファンドにビットコインETFを組み入れるという間接的な形でビットコインを日本の株式市場で取引できる道を作ろうとしている。

　まだファンドの具体的な詳細は出ておらずまだまだこれからの計画だが、実現すれば日本の株式市場でビットコインが取引できることになる。