巨額赤字にスト長期化と窮地のボーイング

著者鳥羽賢

2024年10月24日

航空機製造大手のボーイングが23日に7～9月期決算を発表したが、日本円で1兆円近い巨額の赤字だった。それに加えてボーイングの労働者は9月13日から1ヶ月以上ストを続けており、世界的な航空機メーカーが窮地に陥っている。

直近20四半期中18期で赤字

　「ボーイング767」など旅行でよく乗る飛行機の名前にもなっている米航空機製造大手のボーイング（銘柄コード：BA）が、23日のNY株式市場終了後（日本時間24日早朝）に7～9月期決算を発表した。

　その内容によると、売上高は前年同期の181億ドル（現在のレートで約2兆7500億円、以下同じ）から1.5％減の178億4000ドル（約7兆8000億円）だった。

　純損益は前年同期の16億4000万ドル（約2,500億円）の赤字から3.8倍に増え、61億7000万ドル（約9,380億円）の赤字だった。またEPS（1株あたりの損益）は、9.97ドルの赤字だった。

　これでボーイングは2022年7～9月期から数えて9四半期連続の赤字となる。すでに過去のものとなったが2020～22年はコロナウイルスのパンデミックの時期で、世界中で飛行機の運航が止まっていた。

　ボーイングはその頃から万年赤字体質となっており、直近20四半期中18四半期が赤字という惨憺たる状態になっている。その20四半期の中で最大の赤字額だった2020年7～9月期には80億ドル（約1兆2100億円）であり、今期はそれに次ぐ巨額赤字となった。また黒字だった2四半期も、利益額はわずかだ。

　そしてボーイングではストライキが長期化しており、その業績への影響懸念が高まっている。ボーイングの労組は40％の賃上げを要求していたものの会社側が拒否し、今年9月13日から3万人以上の労働者がストライキに突入。その後約1ヶ月半経っても終了が見えない。

　最近になって今後4年間で35％の賃上げ案が提示されたが、労組側が拒否しストライキの終結にはならなかった。またその一方で10月11日には全世界の従業員の約10％となる1万7000人のリストラを発表した。ストライキによって主力航空機や新型機の製造に支障が出ており、それが次期・10～12月期の業績にも大きく影響すると見られている。

　ボーイングは2018年と19年に新型機「ボーイング737MAX」で事故が起こり、737MAXが全世界で飛行停止となる事件があった。737MAXについては現在までに生産が再開されているものの、この事故の経営への影響は甚大だった。

　その後世界パンデミックに突入して航空機需要が激減。そして2023年頃にようやくパンデミックが明けても赤字から抜け出せない。1916年創業の老舗の航空機メーカーは現在窮地に陥っている。

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