国内4例目のIEOはこれまでにない動き

先週26日に、日本国内で4例目となるIEO・NIDTが上場した。上場直後に販売価格の半分未満にまで落ち込み購入者をかなり失望させたものの、その約24時間後には販売価格付近まで戻るというこれまで3つにはない動きを見せた。

上場から約24時間後に暴騰

　先週26日には日本国内で4例目となるIEOが、DMM Bitcoinとcoinbookの2社で同時に上場した。日本のIEOはこれまでパレットトークン（PLT）、FCRコイン（FCR）、そしてフィナンシェトークン（FNCT）と続いてきたが、2社同時の取り扱いは今回が初。

　4例目となるのはニッポンアイドルトークン（NIDT）というアイドルをテーマにしたトークン。NIDTを販売して得た資金を元に今後オーディションなどを行い、選ばれたアイドルたちが活動をしていく。購入の募集は2社ともに3月29日～4月19日の3週間実施。販売価格は5円で、目標調達額は15億円だった。つまり目標の販売枚数は3億枚ということになる。

　しかしこの目標額を達成することはできず、4月19日の募集期間終了時に調達額にしてかろうじて10億円を上回って終了。販売枚数は2億枚強だった。

　このように最終日まで目標額に到達できなかったIEOは、上場後の値上がりを期待することは難しい。上場から4日目には販売価格の20倍を超えたパレットトークンは、募集開始からわずか6分後に目標額に到達していた。

　最終日まで目標額を到達できないまま終わったため、上場直前になっても購入者以外の冷静な人々はあまり上昇を期待していなかった。そして4月26日の正午にまずcoinbook側で上場されたが、直後から1.5～2円と販売価格の半分未満の低い水準まで落ち込んだ。

　同じ日の午後7時にはDMM側で上場され、こちらでも同じように販売価格の半分未満まで落ち込んだ。また同日午後11時には、DMMが「約17百万NIDTの買い優勢の約定結果、DMM Bitcoinの在庫による対応が困難となる危険水準となった」との理由で取引制限を実施した。

　販売価格割れに取引制限と今回のIEOはいいところがなかったように見えるが、27日になると状況が変わった。この日の午前9時から午後1時頃までの約4時間で、NIDTの価格は突然暴騰して販売価格の5円を突破。その後は今週まで5.1～5.8円付近での推移が続いている。

　上場直後には暴落したものの2日目に突然販売価格付近まで暴騰は、これまで3つのIEOにはなかった値動きが。27日の暴騰は何か買い材料が出たわけではなく正確な理由はわかっていない。

　結局NIDTで最も利益を出したのは、公募に応募して買った投資家ではなく上場直後の24時間に2円未満で買った投資家であった。これは過去になかった新しいIEOの値動きパターンと言える。