伸びる仮想通貨、伸びない仮想通貨

今年になってから仮想通貨市場が低迷しており、昨年のようにどんな仮想通貨を買っても利益が出るということはなくなった。そうなると今後の仮想通貨投資のためには、伸びる仮想通貨と伸びない仮想通貨を見極めることが求められる。

実需で伸びたバイナンスコイン

　2022年になってから仮想通貨市場が低迷している。2021年は17年のように世界的な仮想通貨ブームとなり、ほとんどの仮想通貨価格が高騰した。このような相場ならどの仮想通貨を買っても利益は出るので、投資する仮想通貨を選ぶ必要はあまりなかった。

　しかし今年は仮想通貨市場全体が上がっているわけではないため、今後仮想通貨に投資をしたいならこれから伸びる仮想通貨と伸びない仮想通貨を見極める必要がある。それは伸びる会社を見極めて投資をすることが求められる株式投資のようなものだ。

　ではどういった仮想通貨なら今後伸びると期待できるのか？仮想通貨はまだ世界に登場して歴史が浅いものなので、伸びる仮想通貨の明確な基準などを見つけることは容易ではない。だがここ数年間で他の通貨よりも大きく高騰した仮想通貨を見れば、どんな仮想通貨が伸びるのかなんとなくわかる。

　過去数年間で大きく伸びてステーブルコインを除く時価総額ランキングで3位にまでなったのは、バイナンスコイン（BNB）である。バイナンスコインは名前の通り、海外の大手仮想通貨取引所・バイナンスが発行している仮想通貨。

　バイナンスではバイナンスコインが共通通貨として使われており、「ETH/BNB（イーサリアム/バイナンスコイン）」のようにバイナンスコインと他の多くの仮想通貨間で取引ができる。またバイナンスコインの保有量に応じた特典もある。このような特典でバイナンスコインには単に投機目的ではない実需があり、3位にまで伸びたと思われる。

　またドージコイン（DOGE）もランキング上位まで伸びてきた。ドージコインが伸びたのは、テスラのイーロン・マスクCEOが何度かドージコインを支持する発言をしたためだ。世界有数の富豪であるマスク氏が支持すれば、当然ながら今後の買いが期待されてその通貨のレートは上がる可能性が高い。ただしこのような要素はマスク氏個人の気まぐれなので、一般投資家が予想することは難しい。

　これら以外にも、カルダノ（ADA）やポルカドット（DOT）などの仮想通貨は、2020年以降でかなり伸びてランキング上位に入っていた。

　しかし反対に一度ランキング上位に来ても、その後凋落していく仮想通貨もある。そのような通貨の例がインターネットコンピュータ（ICP）だ、ICPは2021年5月に流通を開始し、バイナンスやアメリカのコインベースなどで上場した。

　上場当初話題になっていたこともあり、直後に日本円では4万円以上のレートをつけ、時価総額ランキングでも10位以内に入った。ところがICPは上場直後だけが華で、その後価格は下落が継続。2022年8月現在で1,000円前後で上下しており、上場直後の10分の1未満になっている。

　さらに同名のステーブルコインの仕組みが破綻したため、時価総額ランキング10位以内から一瞬にして価値がほぼ0になったテラ（LUNA）のような例もある。このような瞬時の下落は株で言えば突然の倒産のようなもので、事前に見抜くことは難しい。

　とはいえ今後の仮想通貨投資は、伸びる通貨とそうでない通貨を見分ける目を持つことが大事になる。伸びる通貨に投資をすれば、投資額の10倍の利益などもまだ期待できるのではないか。