仮想通貨の新たな運用法・ステーキング

仮想通貨は基本金利を生まない資産であるが、仮想通貨を保有することでインカムゲインを得る方法が確立され広まってきている。それがステーキングと呼ばれるものだ。

保有することで報酬

　仮想通貨を利用して利益を得る方法は複数あり、また年々増えている。最も一般的なものは仮想通貨を安く買って高く売る、つまり売買でキャピタルゲインを得る方法だ。さらに仮想通貨の取引にコンピューターのリソースを提供して報酬を得るマイニング。最近では仮想通貨を貸し出して報酬を得られるサービスも出てきている。

　一般的に仮想通貨には、銀行預金の金利や株式の配当に該当するインカムゲインはないと見られてきた。しかし一部仮想通貨では保有しながら利益を得る、つまりインカムゲインに相当するステーキングというものがある。ステーキングを説明するためには、まずマイニングの仕組みから改めて確認しなくてはならない。

　仮想通貨のマイニングで報酬を得られる仕組みは1つではなく、複数ある。ビットコインなど多くの仮想通貨で採用されているのはPoW（プルーフオブワーク）という仕組みで、これはより早く、より多くの取引処理を行った者が多くの報酬を得られるというもの。マイニング業者が大規模なコンピューターを使ってマイニングを行っているのは、PoWによって速く、多くの処理が必要になるからだ。

　それに対してPoS（プルーフオブステーク）という仕組みを採用している通貨もある。これはPoWとは全く違い、多くの仮想通貨を長く保有している者に報酬が与えられる。つまり仮想通貨を持っていると報酬がもらえることになる。ステーキングとは食べ物のステーキのことではなく、この「プルーフオブステーク」のステークから取られた言葉だった。

　最近までメジャーな仮想通貨でPoSを採用しているものはなかったのだが、今年9月に時価総額世界2位のイーサリアムがPoWからPoSに移行した。これは仮想通貨業界にとってはかなり大きなニュースで、今後はPoSを採用する通貨が増えることを示しているのかもしれない。

　ではステーキングに参加したい場合はどうするのか？ただPoSの通貨を漫然と持っていてもステーキングには参加できない。今のところ個人が参加する場合は、ステーキングサービスを提供する特定の取引所のウォレットに特定の通貨を保管している必要がある。

　日本国内では大手取引所のCoincheckが、今年1月からLiskという仮想通貨のステーキングサービスを提供している。つまりCoincheckでLiskを保有していると、一定の報酬が得られる。

　日本国内ではまだあまりないが、海外では中国発の大手取引所・Binanceなど、ステーキングを提供している取引所は多くある。仮想通貨の保有でインカムゲインを得たいなら、ステーキングを提供する取引所を探してみるのも手だ。