先週末にFRBのパウエル議長が講演で9月の利下げをかなり明確に示唆したことで利下げがほぼ確実になり、利下げ観測の拡大を受けて今週のNY株式市場は堅調な1週間となった。
今週は欧米のインフレ指標が発表された。30日金曜にはユーロ圏の8月消費者物価指数速報値が発表され、予想通りの前年同月比+2.8%だった。また同じ日にはアメリカの7月個人消費のPCEデフレーターが発表され、予想通りの前年同月比+2.5%だった。
これら以外に発表された今週の主な指標を見ると、27日火曜にはドイツの第2四半期GDP改定値が発表され、予想の前年同期比0.1%減に対し発表は変動なしだった。29日木曜にはアメリカの第2四半期GDP改定値が発表され、予想の前期比年率2.8%増を上回る3.0%増だった。
今週は主要国の政策金利発表はなかった。一方先週の23日金曜夜に、ジャクソンホール会議でFRBのパウエル議長が講演を行い、「政策変更の時は来た」と発言して次回・9月のFOMCにおける利下げをかなり明確に示唆した。
先週パウエル議長が9月の利下げを示唆したことで、今週のNY株式市場は堅調な1週間となった。ダウ工業平均は26・27日と小幅に上昇して2日連続で史上最高値を更新。28日水曜は159ドル下落したものの、29日には243ドル高と前日の下げ幅以上に上昇してこの日も最高値を更新。さらに30日も228ドル高で最高値となり、今週は5営業日中4営業日で最高値を更新した。
NY株高は東京株式市場にも波及した。日経225平均は週明け26日には254円下落したものの、27・28日の2日間の上昇で26日の下げ幅を帳消しにした。29日もごくわずかに下げて終わったが、30日には285円高で終わり8月頭の大暴落以降の最高値を更新。週足では283円高となり、また8月の月足は大暴落があったにも関わらず454円の小幅安だった。
為替市場を見ると、米ドル/円はパウエル議長の講演を受けて先週終盤に下落し1ドル=144円台で終了。今週はほぼ同じ水準からスタートした後、26日午前中には一旦143円台まで円高になった。その後週前半は主に144円台で推移していたが、29日発表の米GDPと30日発表の米7月PCEデフレーターを受けて円安に動き、146円を超えて今週を終えた。
先物市場ではNY原油は週の序盤は77ドル台で推移していたが、その後は27日から28日にかけて3ドルほど下落。29日にはリビアにおける原油生産への懸念が台頭して上昇したものの、30日になると産油国が10月以降に増産をするとの報道が流れて73ドル台まで下落した。
来週は2日月曜がアメリカのレイバー・デーの祝日にあたり、NY株式市場が休場する。アメリカは5日木曜に8月ADP雇用統計を、6日金曜には8月雇用統計を発表する。そしてカナダとポーランドが政策金利を発表する。
アメリカの2つの雇用統計以外は大きな材料があまりなく、NY株式市場は今週の堅調な地合がそのまま続くかもしれない。
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