今週の金融市場の動き総括、6月3～7日

今週は米5月ADP雇用統計と5月雇用統計の発表があった。またユーロ圏とカナダを含む5ヶ国・地域の政策金利が発表された。材料は多かった週だがそれらには大きく影響されず、NY株式市場は動きのあまりない1週間だった。

ユーロ圏・カナダは利下げ

　今週は重要な発表がかなり多い週だった。経済指標ではアメリカの5月ADP雇用統計と5月雇用統計が発表され、5日水曜に発表されたADP雇用統計は予想の前月比17万5000人増に対し発表は15万2000人増だった。しかし7日金曜に発表された雇用統計の方は、予想が前月比18万5000人増、結果が27万2000人増と予想を大きく上回る増加数だった。

　それ以外に発表された主な経済指標を見ると、5日にはオーストラリアの第1四半期GDPが発表され、予想を0.1ポイント下回る前年同期比1.1％増だった。7日にはユーロ圏の第1四半期GDP改定値が発表され、予想通りで速報値時点と同じ前年同期比0.4％増だった。

　また今週は5ヶ国・地域が政策金利を発表する政策金利発表のミニラッシュの週だった。5日にはポーランドが発表し5.75％の据え置き。そして同じ日にはカナダがパンデミック以降で初となる0.25％の利下げを発表して、政策金利を4.75％とした。

　6日木曜はユーロ圏が政策金利を発表し、予想通り0.25％の利下げが発表されて政策金利は4.25％とされた。こちらもカナダと同じくパンデミック以降で初の利下げとなる。7日にはインドが予想通り6.5％のまま据え置き、同じくロシアも16％のまま据え置いた。

　材料は多く出たにも関わらず、今週のNY株式市場は来週の米政策金利発表待ちもあってあまり動きのない日が続いた。ダウ工業平均は100ドル前後の小さい変動で終わる日が5日間続き、週足では112ドル高だった。

　一方東京株式市場では先週から38,000円台での上下が続く日経225平均は週明け3日月曜には436円上昇。4日火曜は小幅続伸した後5日には347円下がったものの、6～7日には反発して週足では196円高だった。

　為替市場では週開け時点では1ドル＝157円付近だった米ドル/円が、週前半は円高に動き4日夜には一時154円台まで下落。しかし5日になると反発してその後は週後半にかけて156円付近で細かい上下を繰り返し、7日発表の米5月雇用統計が予想を上回ると一時は157円をつけた。

　先物市場では週開けは1トン＝9,200ドル付近だったココアが今週は一貫して上昇が続き、7日にはコートジボワール政府がカカオ豆の国内の販売を規制と発表したことから43月末以来となる10,000ドルをつけた。

　仮想通貨市場ではアメリカのビットコインETFへの資金流入がまた増えているとの情報からビットコインが緩やかながら上昇し、7日には一時1,120万円をつけて史上最高値を更新した。

　来週は13日木曜未明にアメリカが、14日金曜には日本が政策金利を発表する。アメリカの方は今月の利下げはほぼなくなったと見られているが、今後の利下げに対しどのようなメッセージが出るかが注目材料となる。

　そしてアメリカの後に発表する日銀は、円安抑制のため今後どこまで追加利上げを行うとのメッセージが出るかが注目される。