今週は日米の政策金利が発表されどちらも予想通りの据え置きだったものの、米は今後の利下げに慎重な姿勢、日本は今後は国債買い入れを減額していく方針が示された。そしてこれらの発表でも円安トレンドを変えるに至らず、今週は一時GW中の介入以来となる1ドル=158円をつけた。
今週は日本とアメリカの政策金利発表が最重要イベントだった。まずアメリカが13日木曜未明に発表し、政策金利自体は予想通り5.25~5.5%のまま据え置き。しかし同時に発表した声明では「インフレが目標に向けて改善していると確信するまで利下げは適切ではない」と将来の利下げに慎重な内容があった。
また参加者による将来の金利予想では今年末時点までの利下げ予想回数の中央値が「1回」となり、前回・3月時点より今後の利下げ予想が大幅に後退した。その後行われたパウエル議長の会見でも「インフレは緩和したが依然として高すぎる」との発言があったため、市場は今後の利下げペースはかなり緩やかになると判断した。
14日金曜には日銀が金融政策を発表し、政策金利は予想通り変更なしだった。だが前日に米FRBの将来の利下げ見通しが後退したことで、急遽「14日の発表で日銀は国債買い入れの減額を発表へ」との見通しが流れた。そしてその見通し通り発表では将来の国債買い入れ減額方針を発表したものの、具体的な計画は次回・7月末の発表に持ち越しとなった。
今週発表された経済指標で最も注目度が高かったのは米政策金利発表直前の12日水曜夜に発表された米5月消費者物価指数(CPI)で、予想の前年同月比+3.4%に対し発表は+3.3%と予想を下回った。
また10日月曜には日本の第1四半期GDP改定値が発表され、前期比年率1.8%減で速報値時点の2.0%減より減少幅が小さくなっていた。
経済指標・政策金利ともに重要な発表があったにも関わらず、NY株式市場は先週に続きあまり動きのない1週間となった。10日には小幅高、11日火曜には小幅安と続いたダウ工業平均は、12日夜の米CPI発表で早期利下げ見通しが高まるとこの日前半に400ドル近く上昇したが、その後FOMC発表があると反落して35ドル安で終了。その後2日間も小幅安が続き、週足では209ドル安だった。
日本の株式市場も同様で、日経225平均は週明けから39,000円を挟んだ細かい上下が継続。14日の日銀発表後の後場には多少上昇したがその後反落して今週を終了し、週足では131円高だった。
為替市場の米ドル/円も、今週は2度ほど大きな動きがあったものの最終的には週の開始時付近まで戻ってきた。
1ドル=156円台後半からスタートした後、週前半は主に157円台前半で横ばい。12日夜に米5月CPIが発表されるとFRBによる早期利下げ見通しが台頭して155円台まで下げたが、13日未明のFOMC発表によって反発。
さらに14日の日銀発表後は円安に動き158円をつけたものの、植田総裁が会見で「追加利上げはありえる」と発言するとまた円高・米ドル安になり週の終値は157円台前半だった。
来週はオーストラリア、ブラジル、スイス、ノルウェー、そしてイギリスと政策金利発表が多いが、全て据え置きが予想されている。そして日本とユーロ圏のインフレ指標の発表もある。日本のインフレ率は前月より高い数字が予想されており、日銀が大胆な手を打たないと円安・インフレはなかなか止まりそうにない。
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