今週の金融市場の動き総括、4月8～12日

今週は10日水曜に米3月CPI の発表があり、予想を0.1ポイント上回る数字が出た。この発表によって米FRBによる早期利下げ見通しが大幅に後退し、為替市場では2022年10月以来なかなか越えられなかった1ドル＝152円の壁が突破された。

週末にも仮想通貨が変動

　今週発表された経済指標の中でも最も注目度が高かったのは、10日水曜に発表されたアメリカの3月消費者物価指数（CPI）だろう。同指数は予想の前年同月比＋3.4％に対し、発表は＋3.5％と予想を上回った。

　また食品やエネルギーを除外して算出するコア指数も、予想の前年同月比＋3.7％に対し発表は＋3.8％と予想を上回った。この統計によって米インフレのしぶとさが明らかになり、これまでは6月が濃厚だったFRBによる利下げ開始時期見通しがさらに遅れて9月が大半になった。

　ただし翌11日木曜に発表されたアメリカの3月卸売物価指数（PPI）は予想より0.1ポイント低い前年同月比＋0.2％で、この統計が発表されたことで過度なインフレ再燃懸念は消えた。

　また今週は主要国の政策金利の発表が多い週だった。10日にはニュージーランドの政策金利が発表され予想通り5.5％のまま据え置き。同じ日にはカナダが発表して5％のまま据え置き。11日にはユーロ圏が発表して最重要政策金利は4.5％のまま据え置かれたが、同時に発表された声明では今後の利下げに含みをもたせる内容があった。

　最近になってFRBの利下げ開始見通し時期がどんどん遅れていることで、NY株式市場は軟調な動きが続いている。今週のダウ工業平均は8～9日と微小な幅の下げが2日続いた後、10日には3月CPIの発表を受けて422ドル安で終了。11日も同じく微小幅の下げで終わったが、12日には中東懸念の高まりを受けて475ドル安。今週は5日連続下落で、週足では921ドル安だった。

　米3月CPIが発表されたことで米利下げ開始時期見通しが遅れ、為替市場にも大きな変動があった。3月に1ドル＝151円をつけた後、介入警戒感からなかなか152円まで進まなかった米ドル/円は、今週前半は先週に引き続き151円台で推移。

　しかし10日に米3月CPIが発表された後一瞬で152円の壁を突き破り、11日未明には早くも153円を超えた。だが11日夜に発表された米3月PPIが予想を下回ったことでそれ以上円安に動く材料に欠け、週後半は153円を挟んだ動きが続いた。

　先物市場では今週も金の堅調な動きが続いた。週前半には2,350ドル付近で推移していたNY金は、後半になって上昇して2,400ドルを突破。今週も史上最高値を更新したが週の終盤になってやや大きな下げが見られた。

　仮想通貨市場は週前半は堅調な動きだったが、週末13日日曜未明に中東懸念などを受けて市場全般が下落。ビットコインは1,000万円を割り、リップルは70円を割って一時昨年9月以来となる69円台をつけた。

　来週は日本の3月消費者物価指数や中国の第3四半期GDPが発表される。しかし経済指標よりも今週終盤に激化懸念が高まった中東情勢のさらなる悪化の可能性があり、そうなるとまたリスク回避の株安になるかもしれない。