今週は米2月ADP雇用統計と2月雇用統計の発表があった。またカナダやユーロ圏の政策金利が発表された。米雇用指標は力強さに欠けるためFRBによる6月利下げ見通しが高まったと同時に、日銀が早期にマイナス金利を解除するとの観測も出たため為替市場では円高が進行した。
今週は米雇用統計など重要な経済指標がいくつか発表された。6日水曜に発表された米2月ADP雇用統計は、予想の前月比15万人増に対し発表は14万人増で予想を下回った。
また8日金曜には2月雇用統計が発表され、予想が前月比20万人、結果が27万5000人と予想を大きく上回った。しかし同時に発表された2月失業率は予想より0.2ポイント悪い3.9%、同じく発表された2月平均時給は予想を0.2ポイント下回る前月比0.1%増と、他の雇用関連指標は予想より悪かった。
これら以外に発表された主な経済指標を見ると、4日月曜にはトルコの2月消費者物価指数が発表され、予想の前月比+65.74%に対し発表は+67.07%と予想を上回った。トルコのインフレは依然として非常に高い水準に留まっている。
6日にはオーストラリアの第4四半期GDPが発表され、予想を0.1ポイント上回る前年同期比+1.5%だった。8日にはユーロ圏の第4四半期GDP改定値が発表され、予想通りでかつ速報値と同じの前年同期比0.1%増だった。
今週の政策金利発表を見ると、6日にはポーランドが5.75%のまま据え置きを発表、同じ日にはカナダが5%のまま据え置きを発表、そして7日にはユーロ圏が4.5%のまま据え置きを発表した。
また今週は日米の中銀関係者による今後の金融政策を示唆する発言などが多く出た。アメリカでは6日にFRBのパウエル議長が米議会で証言を行い、「FRBは年内に利下げを行うと予想」と発言した。
さらに日本では6日に、「3月の日銀会合で少なくとも1人がマイナス金利解除を支持する予定」との報道が流れ、7日には日銀の中川審議委員が「賃金と物価の好循環を展望できる」とタカ派の発言を行った。さらに8日になると今度は、「日銀はマイナス金利を3月に終了する方向」との報道が流れた。
相次ぐ米利下げや日銀によるマイナス金利解除観測を高める報道で、今週は為替市場で円高・米ドル安が進行した1週間となった。週明け4日は1ドル=150円50銭付近で推移していた米ドル/円だが、5日火曜以降は一貫して円高に動き8日の米雇用統計発表後は一時146円台半ばをつけた。
先週のNY株式市場は5日間全てダウが2桁変動で終わる動きのない展開だった。しかし今週になると4日は先週に続き2桁変動で終わったが、5日は発表された米景気指標が低調だったため404ドルの大幅安。その後3日間はまた小幅な変動が続き、週足では365ドル安だった。
先週金曜に744円も暴騰して節目の40,000円にあと10円と迫った東京市場の日経225平均は、今週は月曜から続伸してついに40,000円をつけた。5・6日には小幅に推移した後、7日は場中に一時40,400円台まで上昇して最高値を行使したが、引けまでに高値から1,000円近く下がる乱高下。週足では222円安で6週ぶりのマイナスだった。
来週は主要国の政策金利発表はないが、日本の第4四半期GDP改定値やアメリカの2月消費者物価指数が発表される。アメリカのCPI次第でまた金融市場が大きく動く可能性が残る。
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