今週の金融市場の動き総括、12月25～29日

今週は金融市場にとって2023年最後の週であり、多くの国が年末の休暇に入り経済指標の発表も少なかった。そのような中、FRBの来年早期の利下げ見通しを受け、NYダウは今週も史上最高値の更新を見せた。

ダウの終値は37,689ドル

　今週は金融市場にとって2023年（令和5年）最後の1週間となった。そして多くの国で市場関係者がクリスマスから年末の休暇に入っており、全体的に金融市場は閑散市場となった。また経済指標の発表は普通の週より少なく、主要国の政策金利の発表は一切なかった。

　そのような状況ではあるが、今週にも発表された経済指標はある。26日火曜には日本の11月失業率が発表され、予想通りの2.5％。同時に発表された11月有効求人倍率は予想の1.30に対して発表は1.28とやや下回った。

　アメリカでは27日水曜に12月リッチモンド連銀製造業指数、29日金曜に12月シカゴ購買部協会景気指数と景気指標が続けて発表されたものの、どちらも予想より悪い数字だった。

　このように今週はいい材料が出たわけではないが、来年FRBが早期に利下げを開始するとの見通しからNY株式市場は先週に続き今週も堅調な1週間となった。25日月曜はクリスマスで休場した後、26～28日まで3日間は小幅ながら連続して上昇。そして27・28日は連続で史上最高値を更新した。しかし今年最後の取引となった29日は20ドル安の37,689ドルで終わり、週足では304ドル高だった。

　FRBの利下げ見通しは米株高と同時に円高材料となっているため、NY株式市場ほどの上昇の勢いはないが、今週は東京株式市場も堅調だった。日経225平均は25・26日と続けて小幅上昇した後、27日には376円高となり今年の最高値に接近。しかし28・29日は小幅安で終わり、週足では295円高だった。

　日経225平均の今年1年間の上昇幅は7,370円高と、バブルの頂点だった1989年以来の大幅高だった。そしてもう1つの重要株価指数であるTOPIXを振り返ると、今年1年間で474ポイント高と2005年以来最大の上げ幅で終了。また上昇率も25％高と非常に大きかった。

　そして今年の終値は2,366.39で、こちらも年の終値としてはバブルの頂点だった1989年以来の高い数字となった。ただし1989年につけた史上最高値は2,884.80なので、その更新までにはまだ多少の幅がある。

　来年のFRBの利下げ見通しを受け為替市場では今週も円高が続いた。今週を1ドル＝142円台前半からスタートした米ドル/円は、週前半はほぼ同じ水準で推移。しかし28日未明になると利下げ見通しを受けた円買い・米ドル売りが多く入り、この日の夜には140円30銭をつけて約5ヶ月ぶりの円高水準に。その後も大きなリバウンドはなく141円付近で今年を終えた。

　また先物市場では、紅海で最近イエメンのフーシ派が商船に対する攻撃を繰り返している懸念から原油が上昇。週明けは一時76ドルをつけたものの、その後アメリカを中心とする多国籍部隊が今後防衛に動くことや、一部の海運会社が紅海の運航再開に動いていることから原油売りが続き今年の終値は71ドル台だった。

　間もなく2023年の金融市場は仮想通貨を含め全て終了となるが、来年もまたいい相場・いいトレードになるよう願いたい。