経営危機に陥っていたクレディ・スイスが、3月20日に同業のUBSによって買収された。しかし買収にあたりこれまでクレディ・スイスが発行していたAT1債が無価値化されたことは、今後の世界の金融業界に大きな影響を残すと思われる。
今月になってスイスの大手銀行クレディ・スイスが経営危機に陥り、アメリカだけではなく欧州でも金融不安が広がった。しかしスイスの同業者であるUBSが、金融不安鎮静化のためにクレディ・スイスの買収を提案。当初は買収額が低すぎて合意できなかったものの、最終的には買収額を引き上げて合意に達した。
これで金融不安も一旦落ち着いたのだが、ここでクレディ・スイスがこれまで160億フラン(約2兆3000億円)も発行していたAT1債を無価値化したことが、金融業界の中で問題となっている。
AT1債とは「Additional Tier 1債」の略で、日本語に直すと「その他ティア1債」という意味。AT1債は偶発転換社債、あるいはCoCo債と呼ばれる債券とほぼ同じものとなる。
偶発転換社債は「自己資本比率が一定以下になった場合」などの条件を満たすと、強制的に株式に転換させられたり、元本を削減されるタイプの債券。また英語で「Contingent Convertible」と書くので、それぞれの最初の2文字を取って「CoCo」債と呼ばれるようになった。
そしてクレディ・スイスはUBSから買収されるにあたり、既存のAT1債を全て無価値にした。これで世界各国の金融機関などが持っていた2兆3000億円分の債券が一瞬にして紙クズになった。
だがこれは金融業界にとって今後大きな問題として残る。クレディ・スイスが全てのAT1債を無価値化したことで、当然ながらAT1債に対する信用は地に落ちた。クレディ・スイスの措置を受けて世界の債券市場ではAT1債の売りが殺到し、価格は暴落した。
債券で売りが増えて価格が下がると、利回りは上昇する。今後AT1債はこれまでと同じ利回りでは売れず、利回りを高くしないと買ってもらえなくなる。そうなるとこれまで資金調達をAT1債に頼っていた銀行は財務状況の悪化の可能性がある。
2008年にはリーマン・ブラザーズが倒産し、世界的な金融危機であるリーマン・ショックが起こった。AT1債はリーマン・ショックの再来を防ぐために導入された債券なのだが、今回はそれが今後の問題として残りそうになってきた。
本来はAT1債を発行している銀行が倒産・買収などされた場合、まずは株式を無価値にして株主に責任を取らせ、その後AT1債を無価値にするという優先順位のはずだった。だが今回は株式はUBSに買収されたことで無価値にならず、AT1債が無価値にされ優先順位がおかしいという指摘が出ている。
クレディ・スイスはやむを得ずAT1債の無価値化を行ったのかもしれないが、今後の金融業界に大きな影響を残しそうになってきている。
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