30日から日銀の金融政策決定会合が開催されており、31日正午頃に政策金利が発表される。今回の最大の焦点は日銀の利上げの有無だが、日本の総選挙後と米大統領選前という不安定な状況を踏まえ今回は利上げ見送りが濃厚と見られている。
30日から日銀の金融政策決定会合が開催されており、31日正午頃に政策金利が発表される。今回の最大の焦点は、追加利上げの有無にある。
2013年から長期間異次元緩和政策を続けてきた日銀だが、2022年以降に円安と国内のインフレが進行してきたため2023年後半から今年にかけて緩和政策の大半を終了。現在残っているのは国債買い入れのみとなった。
そして円安を止めるために今年7月31日にはついに0.25%の利上げを実施したが、その影響で直後の8月1~5日に株式市場が歴史的大暴落を見せた。この暴落によって政府日銀関係者は萎縮してしまいその後の追加利上げが極めて難しくなり、次回・9月20日の会合では追加利上げは見送られた。
そのような状況で迎える今回の政策金利発表だが、今回も利上げ見送りとなる見通しが高まっている。日銀の植田総裁は追加利上げについて「時間的な余裕はある」など急がないと示唆する発言を行ってきた。また石破総理も10月初頭の日銀植田総裁との会談後の会見で、「追加利上げをできる環境にない」と述べていた。
また現在は日米の選挙に挟まれた非常に不安定な時期でもある。先週末27日には日本で総選挙が行われ、自公与党合わせて215議席で過半数割れの惨敗で終了した。これから来年に向けて政局が不安定化することが懸念されており、日銀としても動きにくい状況にある。
そして来週の11月5日には米大統領選の投票が行われる。この大統領選でトランプ氏とハリス氏どちらが勝つかによって、その後のアメリカの為替政策や為替市場が大きく変わる。例えばトランプ氏は米ドル高是正を掲げているため、トランプ大統領になれば日銀が利上げをしなくてもその後円高・米ドル安に進む可能性がある。日銀としては米大統領選の結果とその後の市場の動きをまず見極めたいと考えているだろう。
ただし為替市場ではすでに円安が進行してきている。今年は一時1ドル=162円に接近するところまで円安になったものの、その後日銀が利上げをしたことで9月には139円台まで円高になった。だがその後は日銀の追加利上げ観測の後退や良好な米経済指標が相次いだことなどから、再度円安が進行して最近では1ドル=153円を超えた。
今年の円最安値まであと8円程度に迫っており、本来なら日銀は何らかの対応をしてもいい水準だ。しかし日銀は株価の暴落を恐れて思い切った政策が打ち出せない。
以上のような状況から、31日の政策金利発表では利上げ見送りが濃厚となった。今年最後の金融政策決定会合が12月19日にあり、今年中に追加利上げがあるならその時に発表されることになるだろう。
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