世界の金融市場で存在感を増すCTAとは

ここ数年、世界の金融市場ではCTAと呼ばれるファンドが存在感を高めている。彼らは当然日本の市場にも入り込み、大金を投資している。CTAとはどのような存在なのだろうか？

最近台頭してきたCTA

CTAとは、Commodity Trading Advisorの略である。そして日本語では「商品投資顧問」と訳せる。CTAとはファンドの一種で、顧客から膨大な資金を集めて運用し、利益を出すのが仕事になる。

名前に「商品」とついているが、必ずしも商品先物市場だけに投資しているわけではない。商品先物以外にも、株式、為替、指数先物、オプション、債券と、あらゆる金融商品に投資する。しかし「投資」と言っても、ウォーレン・バフェットのような長期的投資ではなく短期的な投機取引がメインに行っている。

これと似たような存在に、ヘッジファンドというものがあることをすでにご存じの方も多いだろう。現実問題として、CTAとヘッジファンドにそれほど明確な区別は存在しない。CTAはむしろヘッジファンドの一種とも呼ばれている。ただ大まかな意味でヘッジファンドとCTAを区別した場合、リーマンショックの2008年にヘッジファンドは運用成績の悪いファンドが多かったが、CTAは利益を出していたファンドが多かったと言われる。

CTAはその多くがコンピューターを使った取引を行っている。金融工学に基づいてプログラムを組み、人の手ではなく機械が瞬時に注文を出して市場で売買する。いわば人間がトレードを行う個人投資家とは、根本的に別次元の存在と見てもいい。

CTAが使っている取引手法の1つに、HFT（高頻度取引）がある。HFTとは、コンピューターを使って1秒間に数百回、あるいは数千回取引を行う手法で、ここ最近になってファンドのような機関投資家の間で広まってきた。

1秒間に数千回も売買を繰り返す方法は、人間の手では絶対に真似ができない。だがこの手法は日本の株式市場でもすでに多く使われている。2013年5月23日に日経225平均が1,143円も暴落し、その後2～3週間下落が続いたことがあった。この暴落中も、HFTがかなり行われていたと見られている。最近は減ったが、この時期にはHFTについて述べられている金融関連のマスコミ記事がかなり多かった。

CTAはヘッジファンドに比べると最近台頭してきた存在だが、すでにCTAが動かす金額は日本円にして数十兆円とも言われる。これだけの資金規模と、そしてコンピューターを使った取引手法、そしてリーマンショックの年でも実際に利益を出していたという実績から、CTAは市場において無視することはできない存在まで成長してきたのは間違いない。