リブラに採用される通貨バスケットの内容が判明

Facebookが開発している仮想通貨「リブラ」は、レートに通貨バスケット制を採用することがすでに知られている。そして今週になって、通貨バスケットの内容が明らかになった。これでリブラの実態がかなり明確になってきた。

米ドルが半分の割合

Facebookが開発を進めている仮想通貨「リブラ」は、実現すれば世界の通貨・金融情勢を変えるほどのものになるのではないかと思われている。そこまで大きな存在になるリブラなら、気になるのはそのレートの決定方法。

以前からリブラは完全な変動相場制ではなく、主要な法定通貨に連動したレートになると発表されていた。つまりいわゆるステーブルコインになる。

さらに最近になって、リブラは日本円、米ドル、ユーロ、英ポンド、シンガポールドルの5通貨を基にした通貨バスケット制になるとの情報が流れた。通貨バスケット制とは、複数の通貨を特定の割合で混合し、その数値に対して別の通貨のレートをペッグ（連動）させる制度。現在は人民元も通貨バスケット制を採用している。

しかし中国が世界2位の経済大国になったにも関わらず、人民元はリブラの通貨バスケットには含まれなかった。人民元のレートはまだ中国当局の影響をかなり受けているので、リブラのレート決定に使う通貨としては不適切と判断したと思われる。

そして今週になって、通貨バスケットのさらに詳しい内容が明らかになった。採用される各通貨の割合だが、米ドルが50％、ユーロが18％、日本円が14％、英ポンドが11％、シンガポールドルが7％となる。つまり半分は米ドルで、日本円が占める割合は約7分の1になる。

この場合特定の通貨にペッグされているわけではないので、リブラが投機の対象になることも考えられる。例えば為替市場で円高材料が出ると、他の4通貨である米ドル、ユーロ、英ポンド、シンガポールドルの全てに対して円高になる。

ということはリブラに対しても円高・リブラ安となるので、そうなった時に日本円でリブラを買う。そして後日円安になると他の4通貨とともにリブラに対しても円安になり、そこで買ったリブラを売れば利益になる。

このようにリブラを使って為替差益を狙う売買ができる。ビットコインは円やドルなど法定通貨とはほぼ関係なく動くので、非常に値動きが荒くしかも読みにくい。しかしリブラが通貨バスケット制を採用するなら、変動制ではあるが比較的安定した値動きになる。

リブラが比較的為替差益を狙いやすいなら、発行されたら米ドル/円やユーロ/円と同じくらい、リブラ/円の取引が日本人の間で広まるかもしれない。しかし現在仮想通貨売買による利益は総合課税で、FXと比べると税率面で不利になってしまうことは忘れてはならない。