リバウンドが弱い仮想通貨市場

先週はNY株式市場が大幅に反発し、ダウ工業平均は1週間で1,951ドルも上昇した。これで株式市場の地合が変わるとの期待が高まった一方、仮想通貨市場は先週もあまりリバウンドしておらず、同様の期待は高まらない。

ビットコインなどほぼ上昇なし

　2022年に入ってから、アメリカの金融引き締め観測などを背景として金融市場ではリスク回避の流れが拡大。2020年春から21年にかけてあれだけ高騰してきた株式や仮想通貨市場の下げが続いている。

　春になって米FRBのさらなる利上げ加速観測が高まったため、4月後半から5月前半にかけてNY株式市場は特に大きく下げた。また仮想通貨市場はテラ事件を受けて5月上旬に下げが目立った。

　しかしNY株式市場は先週の23日から大幅高の日が続き、ダウ工業平均は週足で1,951ドル高の大リバウンドの週で終了。これで株式市場の地合が変わるのではないかという期待が多少なりとも高まった。

　NY株式市場は先週暴騰したが、東京市場など他国の株式市場は必ずしも上がらなかった。だがNY市場は世界最大の株式市場であるため、ここが上昇すれば世界の株式市場の地合が回復してきたのではないかと期待しても大きな問題はない。

　その一方で仮想通貨市場は先週になってもリバウンドほとんどない。例えばビットコインは先週の23日月曜朝時点で385万円だったが、他の金融市場が終了する28日土曜朝には360万円台まで下落。週明け30日になると上昇して夜までには390万円をつけたのだが、この水準は1週間前とほとんど変わっていない。

　他の主要仮想通貨も同様で、イーサリアムは23日朝の26万円から28日朝には22万円まで下がり、週明け30日になってもやっと24万円まで戻ったのみだった。バイナンスコインも23日朝方には4万円だったレートは、1週間後の30日になってもほぼ同じ4万円付近で推移している。

　ビットコインやイーサリアムなど主要通貨はまだかなりの高値を維持している。しかしもっと小規模な通貨の中にはすでに2020年末以降の上昇幅を全て失ってしまったものもある。

　2018年1月にコインチェックから約600億円が流出して話題になったネムは、5月30日現在6.2～6.3円付近で推移している。ネムは2020年1～7月には4～8円のレンジに留まり、同年8月以降に上昇した。現在6円台ということはもう2020年前半の水準にまで戻ったことになる。

　日本で誕生し主に日本の取引所で売買されているモナコインは、2020年1～12月は100～300円で取引されていた。だが今年5月30日にはすでに77円まで下がり2020年の水準すら下回っている。

　このように仮想通貨市場の地合は先週以降もあまり良くなっていない。2020年末～21年の仮想通貨高騰も世界的な金融緩和によって起こったものであり、今後引き締めが進めば仮想通貨はさらに売られることが考えられる。

　ただし例えばテスラのイーロン・マスクCEOが仮想通貨について何か発言をしたら、仮想通貨市場は大きく動く可能性が高い。仮想通貨市場はそのように予想しきれないところがあるから、ある日突然突発的に上昇するかもしれない。