2020年12月に始まり昨年7月に最初の判決が出た仮想通貨リップルを巡る裁判は、機関投資家への販売に対する罰則部分がまだ残っている。しかしこの点について来週にもSECとリップルの運営元が和解で合意する可能性があり、そうなると3年以上続いてきたこの裁判の終結にもなりえる。
2020年12月に米証券当局であるSEC(証券取引委員会)が、仮想通貨リップル(XRP)の運営元であるリップル社を提訴した。なおここでは仮想通貨とその運営元を区別するために、仮想通貨はXRPと書き、運営元企業はリップル社と書く。
提訴の理由は、「XRPは仮想通貨ではなく有価証券に該当する。それにも関わらずリップル社は有価証券として所定の手続きを踏まずに、XRPを不特定多数に販売してきたのは違法」というものだった。
この裁判は昨年7月14日に最初の判決が出され、内容は「リップル社が販売したXRPのうち機関投資家に販売した部分は有価証券に該当するが、個人投資家に販売した部分は該当しない」というものだった。
機関投資家への販売部分はSECの主張が認められたものの個人投資家への販売では認められておらず、この判決は実質的にリップル社の勝利と見られた。しかし裁判はこれで終わりではなく、あとは機関投資家への販売に対する罰則を決める審理が残った。
その後は昨年8月9日に、裁判が完全に終了する前に実施できる中間控訴を申し立てたが、10月3日に却下された。
10月20日には、ブラッド・ガーリングハウスCEOと、共同創業者のクリス・ラーセン氏の個人的責任を問う訴訟についてSECが取り下げた。
あとは機関投資家への販売に対する罰則を決める裁判のみとなる。SECは罰金20億ドル(約3,160億円)の支払いを主張しているのに対し、リップル社側の主張は1,000万ドル(約15億8000万円)で、両者の主張には200倍近い隔たりがあった。
しかし今週後半に行われたテレビインタビューで、リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOがこの裁判について「もうすぐ解決が期待できる」と発言していた。
そしてSEC側は来週の25日木曜午後(日本時間26日金曜未明)に、何らかの重要な会合を行うと発表している。この会合の議題について詳細は発表されていないが、「法的措置の和解」について話し合うなどリップル社との裁判に関連すると匂わせる内容が出ている。
ガーリングハウスCEOの発言とSECの発表内容から、市場関係者は25日の会合で罰則部分の裁判で和解が成立するのではないかと見ている。そうなると2020年末から3年以上続けられてきたこの裁判がとうとう終結となることも期待できる。
現時点ではまだ確定したことは何もないが、来週末にはSECとリップル社の法廷闘争が終結しているかもしれない。そうなると来週中にXRPの価格が急上昇というシナリオも考えられる。
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